実家の整理や引き出しの奥から出てきた古銭を見て、「これは価値がないのではないか」と感じたことはありませんか。
捨てようか迷いながらも、「もし価値があったらもったいない」と手が止まっているかもしれません。
この記事では、日本銀行・造幣局・e-Govの公式資料と、ヤフオクの落札実績をもとに、「価値ない」と言われる古銭の中身を3つに分けて整理します。価値がつきにくい古銭の特徴と、手放す前に確認したいことも、あわせて解説します。
・「価値ない」と思った硬貨でも、現行の硬貨や記念貨幣は、額面の金額で使えます。
・使えなくなった貨幣(1円未満の銭・厘など)は、通貨としては使えません。売れるかどうかは、種類と状態しだいです。
・傷んだ硬貨も、模様が分かり、量目が基準を満たせば、日本銀行で額面どおりに引き換えられます。
「価値ない」は3つに分けて考えます
手元の古銭を「価値ない」と感じる理由は、人によって違います。次の3つに分けると、確認する順番が見えてきます。
| 手元の古銭 | 通貨として | まず確認すること |
|---|---|---|
| 現行の硬貨、旧デザインの硬貨、記念貨幣 | 額面で使える | 額面より高く売れるかどうか |
| 1円未満の貨幣(銭・厘)など、通用力を失ったもの | 使えない | 種類と状態に、収集品としての価値があるか |
| 傷んだ・変形した硬貨 | 条件を満たせば額面で引き換えられる | 日本銀行の引換え基準を満たすか |
順番に見ていきましょう。
現行の硬貨や記念貨幣は、額面で使えます
日本銀行は、記念貨幣について次のように案内しています。
記念貨幣も、通常の貨幣と同様に、使用することができます。ただし、記念貨幣は、いろいろな素材で作られていたり、大きさが異なったりするため、自動販売機などでは使えないことがあります。記念貨幣は、日本銀行や金融機関の窓口で通常の貨幣と引き換えることができます。
出典:日本銀行「教えて!にちぎん」記念貨幣は実際に使うことができますか?
デザインが古い硬貨も同じです。日本銀行は「その他有効な銀行券・貨幣」のページで、現在発行されていない500円・100円・50円・10円・5円の貨幣を、有効な貨幣として掲載しています。
お札も同じです。日本銀行によると、すでに発行されなくなった銀行券を含め、現在25種類の銀行券が有効です。肖像が聖徳太子の一万円券のように流通に不便なものは、日本銀行の本支店で、現在発行されている銀行券と引き換えられます。郵送での引換えは行っていません。
つまり、現行の硬貨や有効なお札なら、「価値ない」と決めても、額面を下回ることはありません。
銀行や郵便局での交換については、次の記事でまとめています。
価値がつきにくい古銭の特徴と、実際の落札額
発行枚数が数千万枚と多い硬貨は、落札の中央値が額面の2倍以下にとどまっていました。ヤフオクの落札実績(2026年10月22日確認、過去180日)で見てみましょう。
| 種類 | 発行枚数 | 件数 | 落札の範囲(中央値) |
|---|---|---|---|
| 札幌オリンピック100円(昭和47年) | 3,000万枚 | 20件 | 91〜1,780円(200円) |
| 長野オリンピック500円(各種) | 各2,000万枚 | 29件 | 390〜799円(599円) |
| 50円玉(年号が特別でない1枚) | — | 40件 | 50〜480円(90円) |
出典:造幣局「記念貨幣データ」、ヤフオク落札実績。「1枚」と明記された出品を対象に、まとめ売り・複数枚・特殊品(ギザ・エラー・特年・記念・銀貨)・鑑定済みを除いて、個別の出品名を見て選別しました。
50円玉は、66〜90円の定型出品が多く、250〜480円の落札も見られました。
寛永通宝は、品種や状態によって差が大きい古銭です。母銭の落札が3,150円(10月22日)、白目中字が2,600円(5月19日)という例もあります。寛永通宝の種類ごとの買取価格は、次の記事で整理しています。
このように、発行枚数が多い硬貨では、額面を上回っても、落札が数十〜数百円にとどまる例が見られます。
枚数が少なくても、高く売れるとは限りません
「発行枚数が少ない年は、価値がある」と聞いたことがあるかもしれません。造幣局の年銘別貨幣製造枚数(昭和57年〜令和7年銘、通常貨幣)で、最も枚数が少ない年銘は次のとおりです。
| 額面 | 最少の年銘 | 製造枚数 |
|---|---|---|
| 1円 | 平成30年 | 44万枚 |
| 5円 | 平成23年 | 45.6万枚 |
| 500円 | 昭和62年 | 277.5万枚 |
出典:造幣局「年銘別貨幣製造枚数【令和7年銘】」(記念貨幣は含まれていません)
500円の昭和62年は、製造枚数が最少です。ヤフオクの落札(バラ、過去180日、2026年10月16日確認)は、700〜1,500円でした(21件、中央値980円)。枚数が最少でも、額面の2倍ほどです。
上の表の札幌100円(3,000万枚)と長野500円(各2,000万枚)に、枚数の少ない硬貨を並べると、次のとおりです。
| 硬貨 | 発行枚数 | 落札の中央値 |
|---|---|---|
| 昭和62年の500円 | 277.5万枚 | 980円(21件) |
| 中部国際空港開港記念500円銀貨 | 5万枚 | 5,400円(61件) |
出典:造幣局、ヤフオク落札実績(2026年10月16日確認)。中部国際空港のものは、プルーフ貨幣セットとして出品された落札が中心です。年銘別の表は、1円・5円・500円の最少年銘だけを示しています。
中部国際空港開港記念500円銀貨は、発行枚数が5万枚で、素材が純銀です。落札の中央値は5,400円でした。
詳しくは、次の記事で整理しています。
それでも、査定に出す価値があるケース
発行枚数が多い硬貨ばかりではありません。次のように、素材が金や銀で、額面を大きく上回る落札が確認できる古銭もあります。
| 古銭 | 発行枚数 | 素材 | 落札の目安(件数) |
|---|---|---|---|
| 長野オリンピック1万円金貨(各次) | 5.5万枚 | 純金15.6g | プルーフ貨幣セット 375,100〜458,000円(13件) |
| 開催引継記念千円銀貨(2020年東京) | 各5万枚 | 純銀31.1g | 8,910〜14,500円(7件、中央値13,500円) |
| 1964年東京オリンピック千円銀貨 | 1,500万枚 | 銀925・20g | 3,850〜5,500円(43件) |
出典:造幣局「記念貨幣データ」、財務省 東京2020大会記念貨幣の報道発表、ヤフオク落札実績(2026年10月22日確認)。金貨の落札は、プルーフ貨幣セットとして出品されたもので、金貨1枚の価格ではありません。
「価値ない」と決める前に、素材が金・銀かどうか、発行枚数が数万枚と少ないかどうかを確認してください。この2点は、造幣局の記念貨幣データで調べられます。
傷んだ硬貨は、日本銀行で額面どおりに引き換えられます
汚れや傷みがひどく、「これでは価値がない」と思う硬貨はありませんか。
日本銀行は、傷んだ貨幣の引換えについて、次のように案内しています。
- 引換えの対象は、模様の認識ができる貨幣です
- 金貨以外の貨幣は、量目の2分の1を超えるものが、額面の全額で引き換えられます
- 金貨は、量目の98%以上のものが、額面の全額で引き換えられます
- 手数料はかかりません
- 基準を満たさないものは、失効になります
出典:日本銀行「日本銀行が行う損傷現金の引換えについて」
通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律の第9条にも、「貨幣で、その模様の認識が困難なもの又は著しく量目が減少したものは、無効とする。」と定められています。
変形した硬貨の引換えの手順や予約方法は、次の記事で整理しています。
使えなくなった貨幣は、通貨としては使えません
使えなくなったのは、1円未満の貨幣(銭・厘)です。日本銀行によると、昭和28年(1953年)に制定された小額通貨整理法により、1円未満の貨幣や紙幣は発行が停止され、同年12月31日限りで通用力を失いました。
お札では、これまでに発行された銀行券56種類のうち、31種類が通用力を失っています(日本銀行)。
こうした貨幣は、通貨としては使えません。ただし、通貨として使えないことと、収集品として値段がつくかどうかは別の話です。種類と状態によって、査定の結果は変わります。
価値がつくかどうかを、3つの問いで確認します
手元の古銭が「価値ない側」か「ある側」かは、次の3つの問いで整理できます。
| 問い | 「はい」の場合 | 「いいえ」の場合 |
|---|---|---|
| 現行の硬貨、旧デザインの硬貨、記念貨幣ですか? | 額面で使える。売るなら、落札や買取が額面を上回るか確認する | 次の問いへ |
| 素材が金・銀の記念貨幣、または発行枚数が数万枚と少ない硬貨ですか? | 額面を大きく超える例がある。査定で確認する | 次の問いへ |
| 模様が分かり、量目が基準を満たしていますか? | 傷んでいても、日本銀行で額面どおりに引き換えられる | 日本銀行の引換え基準を満たさず、引換えの対象外(失効)。収集品としての価値は、査定で確認する |
額面を大きく超える例として、1964年東京オリンピックの千円銀貨は、ヤフオクの落札が3,850〜5,500円でした(43件)。金貨は、長野・東京2020の1万円金貨が、プルーフ貨幣セットで36万〜46万円ほどで落札されています(金貨1枚の価格ではありません)。
売るか、額面で使うか
落札が数十円〜数百円の硬貨は、売らずに額面で使う、または金融機関の窓口で引き換える選択肢もあります。
ヤフオクで売る場合、落札システム利用料は、落札額の10%(税込)です(Yahoo!オークションの特定商取引法に基づく表記、2026年10月22日確認。会員の種類によって料率が異なる場合があります)。たとえば、50円玉が77円(中央値)で落札されると、利用料は7.7円で、手元に残るのは約69円です(送料別)。
ヤフオクやメルカリで売るときのルールと手数料は、次の記事で整理しています。
「価値ない」と決める前に、確認しておきたいこと
手放す前に、次の点を確認してください。
- 汚れを落とそうとして、傷をつけないようにする
- 額面で使える貨幣かどうかを、先に確認する
- 価値の見当がつかないときは、査定に出す前に費用を確認する
汚れ落としの注意点と、鑑定の費用は、次の記事でまとめています。
「価値ない」と思った古銭を、そのまま捨てる前に、次の記事も参考にしてください。
売るかどうかを決めるときは、買取業者一覧で、各社の特徴や対応している買取方法を比べられます。複数の業者で見積もりを取って比べておくと、「価値ない」と自分で決めずに、金額を確認してから判断できます。
まとめ
- 現行の硬貨や記念貨幣は、額面で使えます(日本銀行)
- 札幌100円(中央値200円)や長野500円(中央値599円)のように、発行枚数が数千万枚の硬貨は、落札の中心が数百円です
- 発行枚数が最少の年銘でも、高く売れるとは限りません(昭和62年の500円は、中央値980円)
- 傷んだ硬貨は、模様が分かり、量目が基準を満たせば、日本銀行で額面どおりに引き換えられます
- 1円未満の貨幣(銭・厘)は、通貨としては使えません。収集品としての価値は、種類と状態で変わります
よくある質問
Q. 古銭は本当に価値がないのですか?
A. 種類と素材、発行枚数で大きく違います。発行枚数が数千万枚の硬貨は、落札の中央値が数百円以下にとどまる例があり、純金や純銀の記念貨幣には額面を大きく超える例があります。
Q. 価値がない古銭は、捨ててよいですか?
A. 現行の硬貨や記念貨幣は、額面で使えます。傷んでいても、日本銀行で引き換えられる場合があります。捨てる前に、引換えと査定の可否を確認してください。
Q. 50円玉に、価値はありますか?
A. 年号が特別でない1枚の落札は、50〜480円でした(40件、中央値90円)。額面の50円を上回りますが、金額は大きくありません。
Q. 寛永通宝は、いくらで売れますか?
A. 品種や状態で大きく違います。母銭が3,150円、白目中字が2,600円といった落札例があります。種類ごとの買取価格は、前述の記事で整理しています。
Q. 昔の1銭や5銭は、使えますか?
A. 使えません。日本銀行によると、1円未満の貨幣や紙幣は、昭和28年12月31日限りで通用力を失いました。売れるかどうかは、種類と状態で変わります。
Q. 傷んだ硬貨に、価値はありませんか?
A. 日本銀行は、模様の認識ができる貨幣で、金貨以外は量目の2分の1を超えるものを、額面の全額で引き換えています。手数料はかかりません。