実家の蔵や引き出しから、寛永通宝が何十枚も出てきたことはありませんか。
「江戸時代のお金だから、価値があるのでは」と期待する一方で、「どうせ数円だろう」と処分を考えている方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、ほとんどの寛永通宝は1枚あたり数円〜数百円です。ただし、一部の種類や母銭は数万円〜数十万円の値がつくため、「全部同じ」とは言い切れません。
この記事では、日本銀行の貨幣博物館・文化庁の公式情報と、古銭買取業者の公開価格、ヤフオクの落札実績をもとに、寛永通宝の買取価格の目安と、価値がつく種類の見分け方、売るときの判断のしかたをまとめます。
・アンティーリンクは、普通の寛永通宝を1gあたり2.5円で買い取っています。重さ3gの寛永通宝なら、1枚約7.5円です。
・ヤフオクの500g以上のまとめ売り(96件)の落札価格は、1gあたり中央値で約2.2円でした。
・島屋文(裏に「文」)や母銭は、業者の公開価格で、数万円〜数十万円の例があります。
・普通品だけを宅配で送ると、送料のほうが売値より高くなる場合があります。
寛永通宝は、江戸時代を通じてつくられました
文化庁の文化遺産オンラインでは、寛永通宝は「1636(寛永13)年から鋳造されて一般に広く流通しました」と説明されています。鋳造は幕府をはじめとして、許可を受けた各藩で行われました。
日本銀行の貨幣博物館は、次のように案内しています。
- 寛永通宝の発行は、「寛永」年間(1624〜1644年)の後も幕末まで続いた
- 幕府は1668年、江戸亀戸村に新たに銭座を設け、大量に寛永通宝を製造した。それ以前と比べて、技術が進歩し、より均質で精巧なつくりになった
- 銭座は全国各地に置かれた
- 銅の不足から、鉄や真鍮の銭貨もつくられた。鉄銭は銅銭に比べて錆びやすく、「びた銭」「なべ銭」とも呼ばれた
- 寛永通宝の四文銭には、鉄製と真鍮製がある。明和期(1764〜1772年)には、真鍮の四文銭が大量につくられた
出典:日本銀行 貨幣博物館「常設展示図録」
つまり、寛永通宝は、長い期間にわたって各地で大量につくられたお金です。数が多いことが、ほとんどの寛永通宝が高値にならない理由になっています。
古寛永と新寛永
アンティーリンクは、寛永通宝を、寛文8年(1668年)までにつくられた「古寛永」と、それ以降の「新寛永」に分けています。
| 項目 | 古寛永 | 新寛永 |
|---|---|---|
| 字の太さ | 太い | 細い |
| 「寶」の貝の下部 | 「ス」の形 | 「ハ」の形(一部例外あり) |
| 裏面 | 小さな点(背星)、「三」や「十三」の文字、無背 | 波模様、「文」などの文字、無背 |
| 呼び名 | 長門銭・松本銭・吉田銭など、つくられた地名 | 平野新田銭・亀戸銭・文銭など |
出典:アンティーリンク「寛永通宝の種類一覧表」
今は貨幣として使えません
買取大吉は、寛永通宝は現在の通貨としては使用できないと案内しています。明治以降も銅の一文銭は1厘、真鍮の四文銭は2厘として通用していましたが、1953年(昭和28年)末の法律の施行で、円未満の通貨はすべて通用停止になったと説明しています。
日本銀行も、1953年に「1円未満の小額通貨の整理」が行われたと案内しています。現在の寛永通宝の価値は、額面ではなく、古銭としての希少性で決まります。
普通の寛永通宝は、いくらで売れるか
業者の公開価格
アンティーリンクは、寛永通宝の買取価格を次のように公開しています(2026年10月時点)。
| 区分 | 買取価格 |
|---|---|
| 普通品(穴銭おまとめ買取) | 1gあたり2.5円(税込) |
| 島屋文(無背)美品 | 6,000円(税込) |
| 母銭 | 状態・種類により5,000円〜100万円(税込) |
出典:アンティーリンク「寛永通宝(寛永通寶)の買取価格」
同社は、寛永通宝の通用銭は発行枚数が多いため、あまり価値はつかないとしています。
買取大吉は、買取市場の取引水準の目安として、次のように説明しています(2026年7月時点。同社の買取価格を保証するものではないと注記しています)。
- 市場に残る寛永通宝の大半は流通量が多い通用銭で、1枚あたり数十円〜数百円の評価にとどまる
- 裏が無地の「無背」は最も数の多いタイプで、多くは数十円〜数百円
- 「文」の刻印がある文銭のうち、標準的な書体の正字文(正字背文)の通用銭は、100円前後から
業者によって、普通品の見方が違います。アンティーリンクは重さで買い取り、買取大吉は1枚ごとの評価を目安として示しています。
重さから、おおよその金額を計算する
アンティーリンクは、寛永通宝の通用銭(銅製)の目安を、直径約23.3〜26.6mm、重さ約2.2〜5gとしています。1gあたり2.5円で計算すると、次のようになります。
| 枚数 | 重さ(1枚3gで計算) | 買取金額の目安 |
|---|---|---|
| 100枚 | 約300g | 約750円 |
| 500枚 | 約1.5kg | 約3,750円 |
| 1,000枚 | 約3kg | 約7,500円 |
1枚5gで計算すると、金額は約1.7倍になります。上の表は、重さをかけた計算値です。実際の金額は、業者の査定によります。
ヤフオクの落札実績
ヤフオクの過去180日の落札実績から、重さが書かれた出品のうち、500g〜30kgのまとめ売りで、寛永通宝を含むもの96件を集計しました(2026年10月18日確認)。
| 項目 | 1gあたりの落札価格 |
|---|---|
| 中央値 | 約2.2円 |
| 下位25% | 約1.6円 |
| 上位25% | 約4.0円 |
天保通宝や文久永宝などの古銭を含む出品が混ざっています。アンティーリンクの2.5円/gに近い水準です。1枚ごとに出品された例では、10円〜50円前後の落札が目立ちました。
値段がつく寛永通宝の種類
アンティーリンクは、寛永通宝の値段を分けるのは、母銭かどうかと、通用銭の書体の違い(手変わり)の2点としています。
業者が示している価格帯
| 種類 | 価格の目安 | 出所 |
|---|---|---|
| 島屋文(裏に「文」) | 10万円以上の場合あり/20万円前後 | アンティーリンク/買取大吉 |
| 日光御用銭、四文銭の母銭(長尾寛・短尾寛など) | 10万円以上 | 買取大吉 |
| 母銭(全般) | 5,000円〜100万円 | アンティーリンク |
| 二水永 | 1,000円〜5万円程度 | 買取大吉 |
| 松本銭 | 数百円〜1万円程度 | 買取大吉 |
| 石ノ巻銭(裏に「仙」) | 数千円〜1万円程度 | 買取大吉 |
| 小梅銭(裏に「小」) | 数百円〜数千円 | 買取大吉 |
| 島屋文(無背) | 5,000円前後から/6,000円(美品) | 買取大吉/アンティーリンク |
| 芝銭、浅草銭、仙台銭、吉田銭、岡山銭、足尾銭など | 1,000円未満 | 買取大吉 |
出典:各社の公式ページ(アンティーリンク2026年10月、買取大吉2026年7月時点)。買取大吉の金額は、買取市場の水準の目安です。
同じ島屋文でも、裏に「文」がある背文は、無背に比べて大きく上がります。一方、裏に「文」があるだけの文銭は、多くが高額にはなりません。買取大吉は、正字文(正字背文)は文銭の中では鋳造数が多い部類で、背文があっても高額にはなりにくいと説明しています。
手元の寛永通宝を確認する手順
寛永通宝は種類が非常に多く(アンティーリンクは100種類以上、買取大吉は200種類以上と説明)、正確な判別には専門知識が必要です。目安として、次の順に確認できます。
1. 裏面を見る
アンティーリンクは、裏面の見方を次のように整理しています。
| 裏面 | 見立て |
|---|---|
| 何も書かれていない(無背) | 基本的に価値は低い。ただし二水永、島屋文の無背など例外がある |
| 波模様のみ(「21波」「11波」) | 通用銭は基本的に価値がない。ただし21波には「長尾寛」というレアな手替わりがある |
| 「小」「長」「元」「足」の文字 | 通用銭であれば価値は低い。裏面が「長」の母銭は1.5万〜3.5万円ほど |
| 「文」の文字 | どれもレアではない。ただし島屋文の背文は別格 |
| 「佐」の文字(享保佐渡銭) | 通用銭は価値が低い。母銭は1.2万〜18万円ほど |
| 「一」の文字(一ノ瀬銭) | 銅・鉄とも価値がある |
| 「仙」の文字(石ノ巻銭) | 仙台・石ノ巻でつくられた寛永通宝。石ノ巻銭には「千」の文字のものもあり、通用銭は鉄銭。銅製のものは母銭に当たる場合が多い |
| 裏面に不規則な点(星) | 鋳だまりで価値がない場合がある。二水永の背星は別 |
出典:アンティーリンク「寛永通宝(寛永通寶)の買取価格」
2. 島屋文かどうかを、表面の「通」の字で確認する
アンティーリンクは、島屋文は価値のない正字文とよく似ているため、「通」の字のマの部分を確認するよう案内しています。ここが「ユ」であれば島屋文、「コ」であれば正字文です。
島屋文は、1668年に江戸の亀戸村で鋳造が始まった種類です。裏面を見て、何も書かれていなければ無背、「文」があれば背文です。
3. 母銭の特徴を確認する
母銭は、通用銭をつくるための元になった銭です。次のような特徴があります。
- アンティーリンク:通用銭よりわずかに大きく、重い。直径は通用銭が約23.3〜26.6mm、母銭が約23.4〜28.2mm。重さは通用銭が約2.2〜5g、母銭が約2.4〜7.0g
- 買取大吉:通用銭より一回り大きく彫りが深い。穴の内側にヤスリ跡がある
数枚〜数十枚を並べて比べると、1枚だけ大きいものや重いものに気づきやすくなります。
4. 材質を確認する
多くは銅ですが、鉄製のものもあります。鉄銭は赤茶色で、錆びやすく、ボロボロの状態になりやすいです。アンティーリンクは、鉄製の通用銭は銅銭に比べてレアなものが少なく、価値は低い傾向があるとしています。ただし、四文銭の背ア(安芸藩)や水戸逆トなど、価値のある鉄銭もあります。
偽物・レプリカにも注意が必要です
寛永通宝は、種類によっては高額になるため、偽物も出回っています。アンティーリンクは、専門知識がなくても確認できる点として、次を挙げています。
- 銅製の通用銭は、直径約23mm、重さ約3〜5gが目安。明らかに軽い・薄いものは、アルミなどの安い金属でつくられた偽物を疑う
- 本物の緑青(サビ)は硬くこびりついている。偽物は薬品で人工的に着色されていることが多く、色が均一すぎる、指でこすると剥がれるといった特徴がある
- 文字の輪郭がはっきりしている。偽物は文字が潰れていたり、線の太さや刻印の深さが不均一だったりする
母銭や島屋文など、価値の高い手変わり品ほど、偽物も精巧につくられているとしています。判断に迷う場合は、自己判断せず、買取業者に査定を頼んでください。
売るときの判断
汚れていても、洗わない
アンティーリンクは、汚れやサビ、傷みがあっても買取していて、洗浄や研磨は不要としています。洗浄や研磨で価値が下がる場合もあるため、そのままの状態で出すよう案内しています。
自分で選別せず、まとめて査定に出す
買取大吉は、寛永通宝が大量に出てきた場合、自分で仕分けをせず、袋や紐に通したままの状態でまとめて査定に出すことをすすめています。希少な1枚が通用銭に紛れているケースが少なくなく、素人判断で分けると見落とすおそれがあるためです。
送料と売値を比べる
アンティーリンクの案内では、宅配買取の送料は、査定額の合計が1万円以上なら無料、1万円未満はお客様負担(着払いの場合は買取金額から差し引き)です。
同社の表(2026年7月時点)では、東京あてのゆうパック60サイズは、東京都内発で820円、東北・関東発で880円です。
普通品の寛永通宝100枚(約750円)だけを宅配で送ると、売値より送料が高くなる場合があります。枚数が少ない場合は、次の方法も選べます。
- 店頭買取:その場で査定を受け、現金で受け取れる業者がある
- 出張買取:アンティーリンクは全国対応で、出張料や手数料はかからないとしています(品物の内容や量によっては伺えない場合あり)
- LINE査定:写真を送って、価値があるかを先に確認する
宅配の送料や梱包の注意点は、次の記事にまとめています。
- 古銭を宅配買取で送るときの梱包と送り方|レターパックは使える?補償・返送料も
- 古銭のLINE査定のやり方|写真の撮り方と注意点、対応している買取業者の違い
- 古銭を現金化する方法を比較|買取店・宅配・メルカリ・銀行のどれが手元に残る?
価値のある1枚が混ざっているかは、専門の査定士でないと判断が難しいことがあります。複数の買取業者の査定を比べたいときは、一括見積もりをご利用ください。
寛永通宝の用語の意味は、用語集でも確認できます。
まとめ
- 寛永通宝は、1636年から幕末まで全国でつくられ、数が非常に多いお金です
- 普通品は、アンティーリンクで1gあたり2.5円、ヤフオクのまとめ売りで中央値約2.2円/gです
- 島屋文(背文)や母銭は、業者の公開価格で数万円〜数十万円の例があります
- 裏に「文」があるだけの文銭は、多くが高額にはなりません
- 洗わず、自分で選別せず、まとめて査定に出してください。普通品だけなら、送料と売値を比べてください
よくある質問
Q. 寛永通宝は今でも使えますか?
A. 使えません。買取大吉は、1953年(昭和28年)末の法律の施行により、円未満の通貨はすべて通用停止になったと説明しています。
Q. 寛永通宝は1枚いくらで売れますか?
A. 普通の寛永通宝は、アンティーリンクで1gあたり2.5円です。買取大吉は、市場の水準として1枚あたり数十円〜数百円と説明しています。島屋文や母銭など、種類によっては数万円以上になります。
Q. 裏に「文」と書いてあると、価値が高いですか?
A. 多くは高額になりません。アンティーリンクは、背中に「文」があるものは、どれもレアなものではないとしています。買取大吉も、標準的な書体の正字文の通用銭は100円前後からとしています。ただし、島屋文の背文は10万円以上の例があります。
Q. 裏に何も書かれていない寛永通宝は、価値がありますか?
A. 裏が無地の「無背」は最も数の多いタイプで、多くは数十円〜数百円です。ただし、島屋文の無背や二水永は例外で、数千円以上の評価があります。
Q. 寛永通宝を洗ってもよいですか?
A. アンティーリンクは、洗浄や研磨は不要で、価値が下がる場合もあるため、そのままの状態で出すよう案内しています。
Q. 母銭は、どう見分けますか?
A. 通用銭より大きく重いのが特徴です。アンティーリンクは、通用銭が直径約23.3〜26.6mm・重さ約2.2〜5gなのに対し、母銭は直径約23.4〜28.2mm・重さ約2.4〜7.0gとしています。買取大吉は、穴の内側にヤスリ跡があることも手がかりに挙げています。判断に迷う場合は、買取業者に査定を頼んでください。