実家の整理や遺品の中から、聖徳太子の一万円札のような古いお札が出てきたことはありませんか。
「今のお金に交換できるのか」「銀行に持っていけばいいのか」「それとも買取に出したほうが得なのか」。この3つで迷う方は少なくありません。
2025年から、三菱UFJ銀行・みずほ銀行・三井住友銀行の3行は、古いお札(旧券)の取扱手数料を新設しました。交換する場所によって、手元に残る金額が変わります。
この記事では、日本銀行・財務省・各銀行の公式情報と、ヤフオクの落札実績をもとに、古い紙幣を買取に出すか、交換するかの判断材料を整理します。
・日本銀行は、これまでに56種類の銀行券を発行しました。現在も有効なのは25種類で、31種類は通用力を失っています。
・聖徳太子の一万円券のように流通に不便になった銀行券は、日本銀行の本支店で現在の銀行券と引き換えられます。事前予約が必要で、郵送では受け付けていません。
・3つの大手銀行は、昭和59年(1984年)11月より前に発行された旧券の取扱手数料を、100枚まで770円〜990円としています。1枚だけ持ち込んでも同じ金額です。
・ヤフオクの落札実績では、バラの聖徳太子の一万円札は12,000円前後、五千円札は6,100円前後でした。番号がゾロ目などの札は、数万円〜10万円を超える例もあります。
古い紙幣は、今も使えるものと使えないものに分かれます
日本銀行は、1885年(明治18年)に初めて銀行券を発行してから、現在までに56種類の銀行券を発行しています。そのうち、現在発行しているものと、すでに発行されなくなったものを含めて、25種類が有効です。
一度発行された銀行券は、法令に基づく特別な措置がとられない限り、通用力を失いません。過去には、この特別な措置が3回行われました。
- 関東大震災後の焼失兌換券の整理(1927年)
- 終戦直後の新円切り替え(1946年)
- 1円未満の小額通貨の整理(1953年)
この結果、これまでに発行された56種類のうち31種類は通用力を失い、現在は銀行券として使えません。
出典:日本銀行「教えて!にちぎん」
現在発行されていないが、今も使えるお札
財務省は、現在発行されていないお金で、現在も使えるものを次のように挙げています。
| 券種 | 肖像・図柄 | 発行年 |
|---|---|---|
| 壱円券(旧) | 大黒天 | 明治18年 |
| 壱円券(改造) | 武内宿禰 | 明治22年 |
| い壱円券 | 武内宿禰 | 昭和18年 |
| A壱円券 | 二宮尊徳 | 昭和21年 |
| A五円券 | 彩文模様 | 昭和21年 |
| A拾円券 | 国会議事堂 | 昭和21年 |
| A百円券 | 聖徳太子 | 昭和21年 |
| B五拾円券 | 高橋是清 | 昭和26年 |
| B百円券 | 板垣退助 | 昭和28年 |
| B五百円券 | 岩倉具視 | 昭和26年 |
| B千円券 | 聖徳太子 | 昭和25年 |
| C五百円券 | 岩倉具視 | 昭和44年 |
| C千円券 | 伊藤博文 | 昭和38年 |
| C五千円券 | 聖徳太子 | 昭和32年 |
| C一万円券 | 聖徳太子 | 昭和33年 |
| D千円券 | 夏目漱石 | 昭和59年 |
| D五千円券 | 新渡戸稲造 | 昭和59年 |
| D一万円券 | 福沢諭吉 | 昭和59年 |
出典:財務省 よくあるご質問「昔のお金は使えますか」
手元の札がこの一覧にあれば、今も有効な銀行券です。一覧にもなく、現在発行されている札でもない札は、通用力を失った札にあたります。
板垣退助の百円札の価値は、次の記事で詳しく説明しています。
古い紙幣を買取・売却に出すと、いくらになるか
古い紙幣は、買取業者に査定を頼んだり、オークションに出したりして、売る方法もあります。ヤフオクの過去180日の落札実績から、バラ(1枚)の落札価格を整理しました(2026年10月18日確認)。
ヤフオクの落札相場は、聖徳太子の一万円札が224件、五千円札が225件で、ここでは取得できた上位200件を集計しています。セット売り・複数枚・連番・ゾロ目・レプリカ・グッズなどは除いています。
| 券種 | 件数 | 落札価格の中央値 | 額面との比 |
|---|---|---|---|
| 聖徳太子の一万円札 | 86件 | 12,000円 | 約1.2倍 |
| 聖徳太子の五千円札 | 113件 | 6,120円 | 約1.2倍 |
ヤフオクの手数料は落札額の10%(税込)です。中央値で売れた場合、一万円札の手元に残る金額は、次のようになります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 落札額(中央値) | 12,000円 |
| 販売手数料(10%) | −1,200円 |
| 手元に残る金額(送料は別) | 10,800円 |
額面の10,000円と比べると、差は800円ほどです。送料がかかると、ほとんど差がなくなります。落札額は出品ごとに違い、中央値より低くなることもあります。
なお、聖徳太子の札のように今も有効な銀行券は、メルカリでは出品が禁止されています。メルカリのルールは、次の記事で説明しています。
交換できる場所と手数料は、次の節で説明します。
古い紙幣を交換できる場所は、日本銀行と銀行です
日本銀行:流通に不便な札を現在の銀行券と引き換える
日本銀行は、「流通に不便なお金(例えば、既に発行を停止している肖像が聖徳太子の一万円券や記念貨など)についても、引換えを行います」と案内しています。
日本銀行が発行停止日を公表している旧札は、次のとおりです。
| 券種 | 発行開始日 | 発行停止日 |
|---|---|---|
| 一万円券(聖徳太子) | 昭和33年(1958年)12月1日 | 昭和61年(1986年)1月4日 |
| 五千円券(聖徳太子) | 昭和32年(1957年)10月1日 | 昭和61年(1986年)1月4日 |
| 千円券(伊藤博文) | 昭和38年(1963年)11月1日 | 昭和61年(1986年)1月4日 |
| 五百円券(岩倉具視) | 昭和44年(1969年)11月1日 | 平成6年(1994年)4月1日 |
出典:日本銀行「銀行券の偽造防止技術について」
日本銀行は、これらの旧い様式の銀行券を、損傷していなくても、本支店の窓口に持ち込めば、現在発行されている銀行券と引き換えると案内しています。
日本銀行の引換えには、次の条件があります。
- 日本銀行の本店とすべての支店で受け付けています(電算センター、発券センター、国内事務所などでは受け付けていません)
- 事前の予約をお願いしています。予約がないと、当日中に引換えを行えない場合があります
- 受付時間は月〜金の9:00〜15:00です(国民の祝日と12月31日〜1月3日を除く)
- 郵送では受け付けていません
- 大量の引換えを希望する場合は、来店の日時や枚数を調整することがあります
予約の方法や持ち物は、次の記事で詳しく説明しています。
日本銀行は、損傷した現金の引換えについては、手数料を徴収しないとしています。旧札の引換えの手数料は、予約のときに日本銀行へ確認してください。
銀行:旧券の取扱手数料がかかる場合があります
3つの大手銀行は、2025年に「旧券・旧貨」と「記念貨幣」の取扱手数料を新設しました。「旧券・旧貨」とは、日本銀行のホームページの「現在発行されていないが有効な銀行券・貨幣」を指します。
| 銀行 | 新設日 | 対象となる取引 | 手数料(税込) |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 2025年4月28日 | 現金入金、現金振込 | 100枚まで770円。以降、100枚ごとに770円を加算 |
| みずほ銀行 | 2025年7月1日 | 入金取引、両替取引、振込取引 | 100枚まで990円。以降、100枚ごとに990円を加算 |
| 三井住友銀行 | 2025年10月1日 | 口座入金(旧紙幣の両替・振込は取り扱わない) | 100枚まで990円。以降、100枚ごとに990円を加算 |
出典:各行の公式サイト(三菱UFJ銀行「旧券・旧貨・記念貨取扱手数料新設のお知らせ」、みずほ銀行「旧券・旧貨・記念貨取扱手数料の新設について」、三井住友銀行「現金整理手数料について」)
3行とも、計数のあとに入金などをやめた場合や、金額を変更した場合も、手数料がかかるとしています。三菱UFJ銀行とみずほ銀行は、手数料を、入金などを行う紙幣や貨幣とは別に用意するよう案内しています。
手数料がかからない紙幣
3行とも、次の紙幣は手数料の対象外としています。
| 券種 | 発行年月 | 表面肖像・図柄 |
|---|---|---|
| 10,000円券 | 昭和59年(1984年)11月以降 | 福澤諭吉 |
| 5,000円券 | 昭和59年(1984年)11月以降 | 樋口一葉、新渡戸稲造 |
| 2,000円券 | 平成12年(2000年)7月以降 | 守礼門 |
| 1,000円券 | 昭和59年(1984年)11月以降 | 野口英世、夏目漱石 |
つまり、聖徳太子の一万円札・五千円札、伊藤博文の千円札、岩倉具視の五百円札のように、昭和59年(1984年)11月より前に発行された旧札は、対象外の一覧に載っていません。この場合は、手数料の対象です。
1枚だけ持ち込んでも、手数料は同じです
手数料は「100枚まで」の金額です。1枚でも100枚でも同じになります。聖徳太子の一万円札を1枚、口座に入金する場合の計算は、次のとおりです。
| 銀行 | 額面 | 手数料 | 差し引いた金額 |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 10,000円 | 770円 | 9,230円 |
| みずほ銀行 | 10,000円 | 990円 | 9,010円 |
| 三井住友銀行 | 10,000円 | 990円 | 9,010円 |
手数料は、銀行の口座やお札とは別に支払います。上の表は、手数料を引いた実質の金額です。一万円札を1枚だけ交換する場合でも、手数料が額面の1割近くになります。
りそな銀行やゆうちょ銀行など、ほかの金融機関の扱いは、各行の公式サイトで確認してください。手数料の条件は、改定されることがあります。
銀行の手数料は、記念硬貨でも同じ仕組みで新設されています。記念硬貨の手数料は、次の記事で詳しく説明しています。
古い紙幣を交換する前に、札の番号を確認してください
普通の札は、額面の1.2倍ほどです。ただし、札の番号によっては、これを大きく上回る落札例があります。ヤフオクの過去180日の落札例は、次のとおりです。
| 券種 | 札番号 | 特徴 | 落札価格 |
|---|---|---|---|
| 聖徳太子の一万円札 | AN888888S | 下6桁がゾロ目 | 39,050円・40,013円 |
| 聖徳太子の一万円札 | FJ111111W | 下6桁がゾロ目 | 33,013円・36,300円 |
| 聖徳太子の五千円札 | FM666666J | 下6桁がゾロ目 | 58,215円 |
| 聖徳太子の五千円札 | KM777777P | 下6桁がゾロ目 | 63,000円 |
| 聖徳太子の五千円札 | LL444444P | 下6桁がゾロ目 | 100,999円 |
額面10,000円の札が約40,000円、5,000円の札が約100,000円で落札された例があります。
数字がそろった札や、キリのよい番号の札は、銀行や日本銀行で額面と交換する前に、売ることも検討する価値があります。交換してしまうと、元の札は戻りません。
札の番号が特別かどうかは、買取業者に聞くと分かります。LINEで写真を送って確認できる業者もあります。
通用力を失った札は、どうすればよいか
財務省の一覧にも現在発行されている札にもない札は、通用力を失った札です。日本銀行は、これらは現在は銀行券として使えないと案内しています。
手元の札が使えなくなった札だった場合は、買取業者に査定を依頼する方法があります。売る方法の比較は、次の記事にまとめています。
売ったときの利益に税金がかかるかどうかは、次の記事で整理しています。
手元の古い紙幣から選ぶ早見表
| 手元にある札 | 選択肢 |
|---|---|
| 財務省の一覧にある札(今も有効) | 日本銀行で現在の銀行券と引き換える(予約が必要)。または買取業者に査定を依頼する |
| 昭和59年(1984年)11月以降に発行された札(福沢諭吉、新渡戸稲造、夏目漱石など) | 大手3行の窓口で、旧券の手数料はかからない |
| 昭和59年(1984年)11月より前に発行された札(聖徳太子、伊藤博文など) | 大手3行は旧券の手数料がかかる。日本銀行は予約で引き換える |
| 札番号がゾロ目、キリ番など | 交換する前に、買取業者に査定を依頼する |
| 財務省の一覧にも現行の札にもない札(通用力を失った札) | 買取業者に査定を依頼する |
古い紙幣は、札の番号や状態によって査定額が変わります。交換する前に、複数の買取業者の査定額を比べたいときは、一括見積もりをご利用ください。
まとめ
- 日本銀行の発行した56種類の銀行券のうち、25種類は今も有効です。31種類は通用力を失っています
- 聖徳太子の一万円券のような旧札は、日本銀行の本支店で現在の銀行券と引き換えられます。予約が必要で、郵送では受け付けていません
- 大手3行は、昭和59年(1984年)11月より前の旧券に、100枚まで770円〜990円の手数料をかけています
- ヤフオクの落札実績では、聖徳太子の一万円札は12,000円前後です。ゾロ目などの札は数万円〜10万円を超える例があります
- 交換する前に、札の番号を確認してください
よくある質問
Q. 聖徳太子の一万円札は、今も使えますか?
A. 日本銀行は、現在発行されていないが有効な銀行券として、聖徳太子の一万円券(C一万円券)を挙げています。財務省の一覧にも載っており、現在も使えます。
Q. 古い紙幣は、どこで交換できますか?
A. 日本銀行は、本店とすべての支店で、流通に不便な旧札の引換えを行っています。事前の予約をお願いしていて、郵送では受け付けていません。大手3行は、旧券を口座に入金する取扱いをしていて、手数料がかかります。
Q. 銀行で古い紙幣を交換すると、手数料はかかりますか?
A. 三菱UFJ銀行は100枚まで770円、みずほ銀行と三井住友銀行は100枚まで990円です。昭和59年(1984年)11月以降に発行された紙幣は、手数料の対象外です。
Q. 古い紙幣は、買取に出すのと交換するのと、どちらがよいですか?
A. 普通の札は、ヤフオクの落札実績で額面の1.2倍ほどです。手数料と送料を引くと、日本銀行で額面と交換する場合との差は小さくなります。札の番号がゾロ目などの場合は、数万円〜10万円を超える落札例があります。
Q. 古いお札は、買取してもらえますか?
A. 今も有効な札は、ヤフオクの落札実績で額面の1.2倍ほどです(聖徳太子の一万円札は、中央値12,000円)。買取業者に査定を依頼する方法があります。通用力を失った札も、査定を依頼できます。
Q. 通用力を失った札は、売れますか?
A. 財務省の一覧にも現在発行されている札にもない札は、現在は銀行券として使えません。買取業者に査定を依頼する方法があります。