実家から見つかった聖徳太子の一万円札や、福沢諭吉の古い一万円札を、ATMに入れたら戻ってきた。コンビニのレジで受け取ってもらえなかった。こんな経験はありませんか。
「旧札は、もう使えないのでは」と不安になりますが、旧札が使えるかどうかは、「法律上有効かどうか」と「機械が受け付けるかどうか」で分けて考える必要があります。
この記事では、日本銀行法・財務省・日本銀行の公式情報と、みずほ銀行・三井住友銀行・セブン-イレブンの公式案内をもとに、旧札がいつまで使えるのか、ATMやレジで使える札と使えない札、使えなかったときの選択肢をまとめます。
・日本銀行券は、法律で「法貨として無制限に通用する」と定められています。有効な旧札は、新紙幣が発行された後も、期限なく使えます。
・ただし、ATMやレジの機械が受け付ける札は、機械ごとに違います。みずほ銀行のATMでは昭和59年(1984年)発行の札まで案内されていますが、聖徳太子などそれより古い札は一覧に載っていません。
・セブン-イレブンのレジでは、昭和59年発行の福沢諭吉の一万円札(裏面がキジ2羽)などは使えません。
・ATMに入れる前に、札の番号を確認してください。聖徳太子の札などでは、番号によって数万円の値がついた例があります。
旧札は、いつまで使えますか
法律では、期限がありません
日本銀行法第46条第2項は、日本銀行が発行する銀行券(日本銀行券)は、「法貨として無制限に通用する」と定めています。
日本銀行は、一度発行された銀行券は、法令に基づく特別な措置がとられない限り、通用力を失わないと案内しています。この特別な措置は過去に3回あり、56種類のうち31種類が使えなくなりました。現在は、25種類が有効です。
出典:日本銀行「教えて!にちぎん」
新紙幣が出ても、旧札は使えます
財務省は、2024年7月に新しい日本銀行券(渋沢栄一・津田梅子・北里柴三郎)が発行された後も、現行の日本銀行券は引き続き通用すると発表しています。また、「現行の日本銀行券が使えなくなる」などと騙った詐欺(振り込め詐欺など)に注意するよう呼びかけています。
みずほ銀行と三井住友銀行も、従来の紙幣は新紙幣の発行後も使えると案内しています。同じように、使えなくなると言って交換や振込を求める話があれば、詐欺を疑ってください。
どの札が現在も有効かは、次の記事にまとめています。
ATMで使える札、使えない札
札が有効でも、ATMが受け付けるかどうかは別の問題です。ATMで利用できる札は、金融機関が案内しています。
みずほ銀行のATMで利用できる札
みずほ銀行の公式FAQ(2026年6月29日更新)では、ATMで利用できる紙幣を、次のように案内しています。
| 発行開始年 | 一万円券 | 五千円券 | 二千円券 | 千円券 |
|---|---|---|---|---|
| 2024年 | 渋沢栄一 | 津田梅子 | — | 北里柴三郎 |
| 2004年 | 福沢諭吉 | 樋口一葉 | — | 野口英世 |
| 2000年 | — | — | 守礼門 | — |
| 1984年 | 福沢諭吉(ホログラムなし) | 新渡戸稲造 | — | 夏目漱石 |
出典:みずほ銀行「ATMで旧紙幣は利用可能ですか?」
この表に、聖徳太子の一万円札・五千円札、伊藤博文の千円札、岩倉具視の五百円札などは載っていません。つまり、昭和59年(1984年)より前に発行された札は、みずほ銀行のATMでの利用が案内されていません。
ほかの銀行のATMは、各行に確認してください
三菱UFJ銀行、ゆうちょ銀行、セブン銀行、コンビニATMなど、ほかの金融機関のATMが受け付ける札は、この記事では確認できていません。みずほ銀行の表が、ほかの銀行にそのまま当てはまるとは限りません。入金する前に、利用する金融機関に確認してください。
ATMから出てくる札は、新旧が混在します
ATMからの出金では、新しい札と従来の札が混ざって出てきます。
- みずほ銀行:ATMでの払い戻しは、2024年7月3日以降、新紙幣と従来の日本銀行券が混在して出てくる場合がある
- 三井住友銀行:窓口・ATMとも、出金の際は新紙幣と従来の紙幣が混在する。新紙幣を指定した出金はできない
新しい札だけをATMで引き出すことはできません。なお、三井住友銀行は、両替をする場合は手数料が必要となる場合があると案内しています。
レジや自動販売機で使えるか
セブン-イレブンのレジ(釣銭機)の例
セブン-イレブンは、公式FAQ(2024年6月19日更新)で、旧紙幣が釣銭機で使えるかを、次のように案内しています。
| 札 | 釣銭機での利用 |
|---|---|
| 福沢諭吉の一万円札(裏面が鳳凰1羽) | 使える |
| 樋口一葉の五千円札 | 使える |
| 野口英世の千円札 | 使える |
| 二千円札 | 使える |
| 福沢諭吉の一万円札(裏面がキジ2羽、昭和59年発行) | 使えない |
| 新渡戸稲造の五千円札(昭和59年発行) | 使えない |
| 夏目漱石の千円札(昭和59年発行) | 使えない |
出典:セブン-イレブン「旧紙幣は釣銭機で使えるかを教えてください」。同社は、使えない紙幣を「昭和59年発行/2世代前の紙幣」と書いています。
先ほどのみずほ銀行のATMでは、昭和59年発行の福沢諭吉・新渡戸稲造・夏目漱石の札が使える札として案内されています。同じ札でも、機械によって受け付けるかどうかが違うことがわかります。
福沢諭吉の一万円札の見分け方
福沢諭吉の一万円札には、昭和59年(1984年)発行と2004年発行の2種類があります。セブン-イレブンの公式FAQでは、裏面の絵で区別しています。
| 項目 | 昭和59年発行(1984年) | 2004年発行 |
|---|---|---|
| 裏面の絵 | キジ2羽 | 鳳凰1羽 |
| セブン-イレブンの釣銭機 | 使えない | 使える |
出典:セブン-イレブンの公式FAQ。みずほ銀行の表では、昭和59年発行の福沢諭吉の札に「ホログラム無し」の注記があります。
自動販売機・セルフレジ
アンティーリンクは、自動販売機やセルフレジなどでは、機器側の対応状況により旧札が使えないことがあると案内しています。使えない場合でも、札が無効になったわけではありません。
使えなかったときの選択肢
1. 銀行の窓口で入金・両替する
ATMで使えなかった札は、窓口で相談できます。ただし、大手3行(三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行)は、昭和59年(1984年)11月より前に発行された旧札に、「旧券・旧貨」の取扱手数料をかけています(2025年に新設)。
| 銀行 | 手数料(税込) |
|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 100枚まで770円 |
| みずほ銀行 | 100枚まで990円 |
| 三井住友銀行(口座入金のみ) | 100枚まで990円 |
昭和59年(1984年)11月以降に発行された福沢諭吉・新渡戸稲造・夏目漱石の札と、2000年7月以降の二千円札は、手数料の対象外です。
2. 日本銀行で交換する
聖徳太子の一万円券のように、流通に不便になった旧い銀行券は、日本銀行の本支店で、現在発行されている銀行券と引き換えられます。事前予約が必要で、郵送では受け付けていません。
詳しい条件や手数料は、次の記事にまとめています。
3. 売る
旧札は、額面以上で売れる場合があります。ヤフオクの過去180日の落札実績(2026年10月18日確認)では、バラの聖徳太子の一万円札は中央値12,000円でした。札番号がゾロ目の札では、次のような落札例があります。
| 札 | 札番号 | 落札価格 |
|---|---|---|
| 聖徳太子の一万円札 | AN888888S | 39,050円・40,013円 |
| 聖徳太子の一万円札 | FJ111111W | 33,013円・36,300円 |
| 聖徳太子の五千円札 | FM666666J | 58,215円 |
| 聖徳太子の五千円札 | KM777777P | 63,000円 |
| 聖徳太子の五千円札 | LL444444P | 100,999円 |
額面10,000円の札が約40,000円で落札された例です。ATMや窓口に入れてしまうと、札は戻りません。入金や交換の前に、札の番号を確認してください。
札の番号や状態によって、査定額は変わります。入金や交換の前に、複数の買取業者の査定額を比べたいときは、一括見積もりをご利用ください。
売り方の比較は、次の記事にまとめています。
旧硬貨も、銀行で手数料がかかる場合があります
旧硬貨(日本銀行の「現在発行されていないが有効な貨幣」)も、大手3行の「旧券・旧貨」の取扱手数料の対象です。ただし、次の硬貨は対象外です。
| 硬貨 | 対象外となる発行年 |
|---|---|
| 500円貨 | 昭和57年(1982年)以降 |
| 100円貨 | 昭和42年(1967年)以降 |
| 50円貨 | 昭和42年(1967年)以降 |
| 10円貨 | 昭和26年(1951年)以降 |
| 5円貨 | 昭和24年(1949年)以降 |
| 1円貨 | 昭和30年(1955年)以降 |
出典:三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行の公式サイト
たとえば、昭和32年〜41年に発行された鳳凰・稲穂の100円銀貨は、100円貨の対象外の発行年(昭和42年以降)より前の発行にあたるため、手数料の対象になります。硬貨の交換は、次の記事でも説明しています。
まとめ
- 日本銀行券は法貨として無制限に通用し、有効な旧札は期限なく使えます。新紙幣の発行後も同じです
- ATMやレジが受け付ける札は、機械ごとに違います。使えないのは札が無効だからではありません
- みずほ銀行のATMは昭和59年(1984年)発行の札まで案内されていますが、聖徳太子などそれより前の札は一覧にありません
- セブン-イレブンのレジでは、昭和59年発行の福沢諭吉・新渡戸稲造・夏目漱石の札は使えません
- 使えない札は、窓口、日本銀行、売却のいずれかを選べます。札番号が特別な札は、入金前に価値を確認してください
よくある質問
Q. 旧札はいつまで使えますか?
A. 日本銀行券は、法律で法貨として無制限に通用すると定められています。日本銀行は、法令に基づく特別な措置がとられない限り、通用力を失わないと案内しています。財務省は、新紙幣の発行後も、現行の日本銀行券は引き続き通用すると発表しています。
Q. 旧札をATMに入金できますか?
A. 銀行とATMによって違います。みずほ銀行の公式FAQでは、昭和59年(1984年)発行の福沢諭吉・新渡戸稲造・夏目漱石の札までが、ATMで利用できる紙幣として案内されています。ほかの銀行は、各行に確認してください。
Q. 聖徳太子の一万円札は、ATMで使えますか?
A. みずほ銀行のATMの一覧には、聖徳太子の札は載っていません。使えなかった場合は、銀行の窓口か、日本銀行で現在の札と交換できます。
Q. 旧札ばかりATMから出てきたら、交換が必要ですか?
A. 出てきた札が現在も有効な日本銀行券であれば、額面どおり使えます。ATMからの出金は、新しい札と従来の札が混在し、新紙幣だけを指定することはできません(三井住友銀行)。
Q. 旧札が使えなくなると言われたら?
A. 財務省は、「現行の日本銀行券が使えなくなる」などと騙った詐欺に注意するよう呼びかけています。交換や振込を求められても、応じないでください。