実家の片付けや遺品整理で古い硬貨が出てきたものの、これが日本古銭なのか、ただの古い硬貨なのか分からず困っていませんか?日本古銭には穴の空いたものや文字の古いものなど、時代ごとにさまざまな種類があります。中には額面以上の価値で見られるものもあるため、銀行で交換したり処分したりする前に、まずは種類を大まかに確認することが大切です。この記事では、日本古銭の主な種類、見分けるポイント、価値確認の考え方を初心者向けに分かりやすく整理します。
日本古銭とは?古い硬貨との違いを先に確認

日本古銭は「昔のお金」でも全部同じではない
一口に「昔のお金」といっても、江戸時代以前の古銭、明治〜昭和の旧硬貨、現在も有効な記念硬貨、現行硬貨は、それぞれ法律上の扱いも見た目もまったく別物です。まずはこの4つが別カテゴリーだと知っておくと、以降の分類が理解しやすくなります。
銀行で交換しやすい硬貨と、価値確認が必要な古銭は違う
現行硬貨や記念硬貨は、銀行で額面どおりに交換・入金してもらえる対象です(詳しくは「古い硬貨は交換できる?」「古い硬貨は銀行で交換できる?」で解説しています)。一方、江戸時代以前の古銭は、すでに法律上の通用力を失っており、銀行で額面処理する対象そのものになりません。銀行で断られた場合の考え方は「銀行で断られた古い硬貨・古銭はどうする?」でまとめています。この記事では、その手前の「そもそも何の古銭なのか」を確認するところに焦点を当てます。
迷ったらまず「時代・穴の有無・文字」を見る
手元の硬貨を大まかに分類する最初の一歩として、次の3点を確認してみてください。見るからに古そうな時代を感じるか、中央に四角い穴が開いているか、刻まれている文字が読める漢字か崩れた書体かどうか、です。この3点だけでも、大きな分類の見当がつけやすくなります。
日本古銭の種類一覧【まずは大きく分類】
穴銭系の古銭
中央に四角い穴が開いている古銭は「穴銭」と呼ばれる代表的なグループです。和同開珎をはじめとする古代の銭貨(皇朝十二銭)、寛永通宝、天保通宝などが穴銭に含まれます。なお、丸い穴が開いた古銭は「古圜法」と呼ばれ、穴銭とは区別されます。
江戸〜明治期の古銭・旧硬貨
寛永通宝と並んで発行された文久永宝も穴銭の一種です。一方、明治以降になると、一銭・十銭といった円未満の単位の少額面硬貨が発行されるようになり、穴のない丸形の硬貨が主流になっていきます。実家から出てくる硬貨は、こうした明治〜昭和初期の少額面硬貨であることも多くあります。
古紙幣や記念硬貨は別ジャンルとして考える
古い紙幣(古紙幣)や、東京オリンピック記念硬貨・地方自治法施行60周年記念貨幣のような記念硬貨は、日本古銭と一緒に見つかることが多いものの、成り立ちも扱いも別のジャンルです。この記事では日本古銭(江戸時代以前の穴銭・銭貨)に絞って解説します。
そのほかに知っておきたい古銭カテゴリー
代表的な古銭以外にも、実家整理や遺品整理で一緒に見つかりやすいカテゴリーがいくつかあります。名前だけでも知っておくと、手元の硬貨がどれに近いか見当をつけやすくなります。
- 皇朝十二銭の残り: 和同開珎は皇朝十二銭という12種類の銅銭の最初の1種です。残りの万年通宝・神功開宝・隆平永宝など11種も同じ奈良〜平安時代の古代銭にあたります。
- 渡来銭: 平安〜室町時代にかけて、日本では貨幣がほとんど作られなかった時期があり、代わりに中国から輸入された開元通宝・永楽通宝・宋銭・明銭などが広く流通しました。これらは「渡来銭」と呼ばれ、日本国内で大量に流通した分、現存数も多い古銭です。
- 絵銭(えせん): 家紋や動植物、七福神などの絵柄が入った、通貨としては使われなかった古銭です。江戸時代の子供のおもちゃやお守りとして作られたもので、実家から古銭と一緒に出てくることがありますが、流通貨幣とは別物です。
- 大判・小判・丁銀などの金銀貨: 江戸時代には、銭貨とは別に、大判・小判(金貨)や丁銀・豆板銀(銀貨)といった、両・分・朱という単位の貨幣も存在しました。これらは銭貨よりも高額な取引に使われており、素材自体に金・銀の価値があるため、見た目の印象も評価のされ方も銭貨とは異なります。
代表的な日本古銭の種類と特徴
和同開珎の特徴

708年(和銅元年)に発行された、日本で最初に本格的に流通した貨幣とされています。「皇朝十二銭」と呼ばれる、708年から963年にかけて発行された12種類の銅銭・銀銭のうち、最初に鋳造されたのが和同開珎です。
なお、「日本最古の貨幣は和同開珎」という説明を見かけることがありますが、これは現在では正確ではありません。1999年に奈良県の飛鳥池遺跡から出土した「富本銭」は、和同開珎より古い683年頃に鋳造されたとみられており、2000年前後の教科書改訂以降は富本銭を最古の貨幣として紹介するケースが増えています。ただし、富本銭が実際に貨幣として流通していたのか、まじない用の「厭勝銭」にとどまっていたのかは学説が分かれています。和同開珎は「日本で初めて本格的に流通した貨幣」という点では、現在も歴史的な位置づけが変わっていません。
和同開珎には「古和同」と「新和同」の2種類があります。古和同は厚みがあり彫刻がやや粗いのに対し、新和同は薄手で彫刻が精巧という違いがあり、厚みと彫りの丁寧さを見比べると見分けの手がかりになります。直径はどちらもおよそ2.4cmで、中央に一辺約0.6cmの四角い穴が開いています。
寛永通宝の特徴

寛永13年(1636年)から幕末まで、実に200年以上にわたって発行され続けた銭貨です。1文銭と4文銭があり、裏面の模様で見分けられます(4文銭は波形の模様、1文銭は無地または文字入りが多いのが一般的です)。1659年までに作られたものを「古寛永」、1668年以降のものを「新寛永」と呼びます。
見分ける手がかりとして、表面の「寳」の字の書体があります。最後の3画が「ス」のような形になっているものが古寛永、「一」と「ハ」を重ねたような形になっているものが新寛永とされています。古寛永の中でも「二水永」と呼ばれる種類は、「永」の字が「二」と「水」を組み合わせたような独特の形をしており、書体だけで見分けがつく代表例です。発行期間が長く発行数も膨大なため、同じ寛永通宝でも種類によって評価が大きく異なるのが特徴です。
天保通宝の特徴

天保6年(1835年)に発行された、額面100文の銭貨です。当時、寛永通宝だけでは銭の供給が追いつかなくなっていたことを背景に発行されました。寛永通宝より一回り大きく、楕円形をしているのが最大の特徴で、見た目だけでも他の穴銭と区別しやすい古銭です。素材は銅で、赤みを帯びた色合いをしています。
文久永宝の特徴

文久3年(1863年)2月に鋳造が始まり、慶応3年(1867年)まで発行された4文銭です。「文久」という元号の期間だけでなく、次の元治・慶応期にまたがって鋳造が続いた点は見落とされがちです。寛永通宝の4文銭を補う形で発行されましたが、当初4文で通用していたものが、慶応元年(1865年)には8文相当に、慶応3年(1867年)には自由相場で15〜16文相当まで価値が上がったとされ、発行から数年で通用価値そのものが変動した珍しい古銭でもあります。種類によってはエラーやレア品として話題になることもあります。
一銭・十銭など少額面硬貨の特徴
明治以降に発行された、円未満の単位(銭・厘)の少額面硬貨です。江戸時代の穴銭とは異なり、丸形で穴が開いていないものが中心です。発行された時代によって素材が変わっていることもあり、見た目の重さや色合いが年代ごとに異なる場合があります。これらも寛永通宝・文久永宝と同じく、昭和28年(1953年)末の法律施行によって、現在は法律上の通用力を失っています。実家の引き出しなどから出てきやすく、古銭に詳しくない方が最も見分けに迷いやすいゾーンでもあります。
日本古銭の見分け方|初心者はここを見る
文字が読めるか
刻まれている年号や銘文の漢字が読み取れるかどうかは、種類を特定する大きな手がかりになります。「寛永通宝」「天保通宝」「文久永宝」のように、貨幣の名前自体に元号や特徴的な文字が入っていることが多いため、崩れた書体や旧字体であっても、まずは何という字が並んでいるかを観察してみましょう。寛永通宝であれば、前述のとおり「寳」の字の最後の3画の形で古寛永・新寛永の見当がつきます。
穴の形や大きさに特徴があるか
穴が四角いか丸いかは、まず大きな分かれ道です。四角い穴があれば和同開珎・寛永通宝・天保通宝などの穴銭、丸い穴であれば古圜法という別のグループになります。同じ四角い穴でも、天保通宝は硬貨自体が楕円形をしているため、正円形の寛永通宝や和同開珎とは見た目の印象が大きく異なります。
重さ・大きさの目安
手元に定規やキッチンスケールがあれば、サイズも参考になります。目安として、和同開珎は直径約2.4cm、寛永通宝の通常の1文銭は直径約2.3〜2.7cm・重さ約2.2〜5gとされています。天保通宝はこれより一回り大きい楕円形です。極端にこの目安からかけ離れている場合は、レプリカや別の硬貨の可能性も考えられます。
色・素材・厚みが不自然でないか
銅・真鍮・鉄など、素材によって色味や質感が変わります。銅は赤みを帯びた色、真鍮は黄色みが強く、鉄は錆びやすくざらついた質感になりやすいのが一般的な傾向です。あきらかに軽すぎる、色が不自然、といった違和感がある場合は判断が難しくなりますが、偽物と決めつけず、違和感がある点として覚えておく程度で十分です。
汚れていても磨かず、そのまま確認する
汚れが気になっても、自己判断で洗浄したり磨いたりするのは避けてください。状態を損ねてしまうと、かえって価値を下げてしまうことがあります。
日本古銭で価値が出やすいのはどんなもの?
発行時代が古いもの
一般的に、発行時期が古いものほど現存数が少ない傾向があり、和同開珎のような古代の銭貨は希少性が高いとされます。ただし、寛永通宝のように200年以上にわたって大量に発行され続けた古銭は、古いというだけで一律に高額になるわけではなく、時代の古さと価値の高さが必ずしも比例しない点には注意が必要です。
状態が良いもの
文字や図柄がはっきり残っているか、大きな欠けや傷がないかといった保存状態も、価値を左右する要素です。古銭の買取業界では「美品」「並品」「劣品」といった状態のランク分けが使われることが多く、同じ種類の古銭でも状態次第で評価が大きく変わります。錆や汚れがあっても、それ自体を自分で判断するより、状態のまま確認してもらう方が無難です。
種類の中でも珍しいもの
同じ「寛永通宝」という名前でも、鋳造地や書体の違いによって現存数が大きく異なります。前述の「二水永」のように、名称は同じでも特定の書体や製法の違いによって、他の同種の古銭より高く評価されるものが存在します。見た目が似ていても、細部の違いで扱いが変わりうるということです。
まとめて見つかった場合は全体で判断した方がいい
実家整理や遺品整理で複数の古銭がまとまって見つかった場合、種類も年代もバラバラであることが多く、1枚ずつ個別に判断するのは手間も時間もかかります。中に価値の高いものが紛れていても、一見しただけでは気づきにくいため、全体をまとめて確認した方が、見落としを防ぎやすく効率的です。
日本古銭が出てきたときにやってはいけないこと
銀行で額面交換してしまう
そもそも江戸時代以前の古銭は、法律上すでに通用力を失っているため、銀行での額面交換の対象にそもそもなりません。古銭と気づかずに銀行へ持ち込んでも対応してもらえないことがあり、逆に、現行硬貨と誤解したまま何らかの形で額面処理されてしまうと、コレクター価値があったとしても取り戻すことはできません。
自己流で洗う・磨く
汚れやくすみを取ろうとして洗浄したり磨いたりすると、表面の文字や図柄が薄れたり、経年による自然な風合い(古銭ではこれも評価の対象になることがあります)が損なわれたりして、かえって価値を下げてしまうことがあります。きれいにしてから確認してもらおうという考え方は、古銭に関しては逆効果になりやすい点を覚えておいてください。
価値がないと決めつけて処分する
種類が分からないまま、「古そうだから価値があるはず」あるいは逆に「地味で目立たないから価値はないはず」と自己判断で処分してしまうのは避けた方が安全です。見た目の印象だけでは、鋳造地や書体といった価値を左右する細部までは判断できません。
日本古銭が出てきたときのおすすめの流れ
まずは種類を大まかに見る
この記事で紹介した「穴の有無」「文字」「色・素材」「サイズ・重さ」といったポイントを1つずつ照らし合わせ、和同開珎系・寛永通宝・天保通宝・文久永宝・一銭十銭のどれに近いか、あるいはそのどれにも当てはまらない渡来銭や絵銭の可能性があるか、大まかな見当をつけます。この段階では正確な特定を目指す必要はなく、大分類がつけば十分です。
交換や処分の前に価値確認を考える
銀行は額面どおりに処理できるかどうかで対応する場所であり、古銭のコレクター価値を判断してくれる場所ではありません。見当をつけた種類が江戸時代以前の古銭であれば、そもそも銀行での額面交換の対象外になるため、交換より先に価値の有無を確認する方が合理的です。※銀行での扱いについては「古い硬貨は交換できる?」「古い硬貨は銀行で交換できる?」を、断られた場合の考え方は「銀行で断られた古い硬貨・古銭はどうする?」を参考にしてください。
種類が混ざっているならまとめて相談する
実家整理や遺品整理で複数の種類が混ざって出てきた場合、寛永通宝と一銭・十銭が一緒に入っていたり、記念硬貨や古紙幣まで混在していたりすることも珍しくありません。こうしたケースで1枚ずつ調べようとすると時間がかかるうえ、価値のあるものを見落とすリスクもあるため、まとめて価値を確認した方が効率的です。
よくある質問
日本古銭と古い硬貨は何が違いますか?
日本古銭は江戸時代以前に発行され、現在の法律上すでに通用力を失っている貨幣を指します。一方、現行硬貨や記念硬貨は現在も法律上有効な「古い硬貨」で、銀行で額面どおりに交換・入金してもらえる対象です。見た目が古くても、この2つでは銀行での扱いがまったく異なるため、まず自分の手元にあるのがどちらに近いかを確認することが最初のポイントになります。
穴が空いていれば日本古銭ですか?
そうとは限りません。穴の開いた古銭(穴銭)は日本古銭の代表的な形式ですが、穴のない一銭・十銭のような近代の少額面硬貨も日本古銭の一種です。逆に、穴が開いていても中国から伝わった渡来銭など、日本国内で作られたものではないケースもあります。
汚れている日本古銭でも価値はありますか?
汚れているからといって、それだけで価値がないと判断することはできません。長年保管されていた古銭には汚れや変色が生じているのがむしろ自然で、状態が良くないように見えても、種類や希少性によっては十分な評価がつくことがあります。自己判断で磨いたり洗ったりせず、そのままの状態で確認することをおすすめします。
まとめ
日本古銭は種類が多く、古い硬貨と見分けにくいものもあるため、交換や処分の前にまず種類を大まかに確認することが大切です。価値が出るかどうかは名称だけでなく状態や希少性でも変わるため、迷う場合は自己判断で処理を進めない方が安全です。
日本古銭かもしれない硬貨が出てきた場合は、交換や処分の前に価値だけ確認しておくと安心です。種類が分からない古い硬貨や古銭が複数ある場合は、古銭場の無料一括見積もりでまとめて確認できます。実家整理や遺品整理で見つかった古銭も、自己判断で処理する前に見積もりで確認しておく方法があります。