令和3年(2021年)に発行された「近代通貨制度150周年記念5千円金貨幣」、この金貨は、日本の通貨単位「円」の誕生150周年を記念して発行されたもので、明治時代の金貨のデザインを再現した図柄が特徴です。日本の記念貨幣として初めて発行された額面5千円の金貨でもあり、銀行の窓口で額面と交換できる一般的な記念貨幣とは違い、造幣局からの通信販売・抽選制で発行された、やや特殊な金貨です。
今回はそんな近代通貨制度150周年記念5千円金貨の価値と買取相場、見分け方について解説していきます。
近代通貨制度150周年記念5千円金貨とは?
近代通貨制度150周年記念5千円金貨幣は、2021年(令和3年)に発行された記念金貨です。きっかけは、明治4年(1871年)に太政官布告として制定された「新貨条例」です。この法令により、日本の通貨単位は「圓(円)」に統一されました。2021年6月にこの新貨条例制定・近代通貨制度開始から150周年を迎えたことを記念して発行されたのが、この近代通貨制度150周年記念貨幣シリーズです。
シリーズには1万円金貨幣・5千円金貨幣・千円銀貨幣の3種類があり、今回紹介する5千円金貨幣は、明治4年発行の金貨に使われていた「圓」の文字と「菊と桐」の紋様を表面に再現したデザインになっています。

裏面には、1万円金貨幣・千円銀貨幣と共通で、現在使われている通常貨幣6貨種すべての図柄と、「近代通貨制度150年」の文字が配されています。

素材は純金(品位99.9%以上)、量目7.8g、直径20mm、側面には斜めギザが施されています。表面は鏡のように磨き上げるプルーフ仕上げが施されており、造幣局発行の特製ケースに収められた状態で頒布されました。発行枚数は2万枚で、5千円という額面の金貨が発行されたのは、日本の記念貨幣史上今回が初めてです。
この金貨は、金融機関の窓口における額面での引換えは行われておらず、造幣局からの通信販売のみで発行されました。財務省自身も「素材に貴金属を使用し特殊な技術を用いて製造されることから、貨幣の製造等に要する費用が額面価格を上回る、プレミアム型の記念貨幣」と説明しており、販売価格は76,000円(税込・送料込)でした。申込受付期間は2021年9月2日から9月22日までで、商品発送は同年11月下旬頃からとされていました。造幣局の抽選会結果によると、申込数208,788個に対し抽選対象数18,000個、当選倍率は11.60倍という狭き門でした。
なお、同時期に発行された同シリーズの1万円金貨幣(純金15.6g、直径26mm、発行枚数2万枚、販売価格145,000円、申込期間2021年6月16日〜7月6日、当選倍率11.27倍)や千円銀貨幣(純銀31.1g、直径40mm、発行枚数5万枚、販売価格11,700円、当選倍率5.01倍)も、表裏のデザインは共通です。
近代通貨制度150周年記念5千円金貨の価格の見方
貨幣の価格の決め方は、大きく分けて3つあります。
近代通貨制度150周年記念5千円金貨の額面の価格
1つ目は額面の価格です。これは貨幣に印刷・刻印されている「公式な価値」のことで、今回の近代通貨制度150周年記念5千円金貨の額面は5,000円になります。ただし後述するように、この金貨は額面よりもはるかに高い価格で購入・取引されているタイプの記念貨幣です。
近代通貨制度150周年記念5千円金貨の素材の価格
2つ目は素材の価格になります。これはその貨幣に使われている金属そのものの価値のことです。素材の価格の計算式は下記の通りです。
素材価値(円) = 重さ(g) × 含有率(%) × 金属価格(円/g)
近代通貨制度150周年記念5千円金貨は純金(品位99.9%以上)で、重さ7.8g、直径20mmです。古銭場では、この品位・重量をもとに現時点の金相場から素材価値を算出しており、結果は下記の通りです。
素材価値:¥169,172.24
これを逆算すると、金の価格はおよそ21,688.75円/gという計算になります。
7.8g(重さ)×100%(含有率)×21,688.75円/g(金属価格)=169,172円
額面5,000円に対して、素材だけで33倍以上の価値があるということがここで分かります。当初の販売価格76,000円と比べても、現在の金相場の上昇によって素材価値だけでそれを大きく上回る水準になっています。
近代通貨制度150周年記念5千円金貨の希少性の価格
希少性の価格は「どれだけ手に入りにくいか」「どれだけ欲しい人がいるか」によって上乗せされる価値のことです。希少性の価格を測る上で必要な要素としては、発行枚数、現存枚数、人気需要、保存状態、歴史的価値などがあります。これを踏まえた上で、今回の近代通貨制度150周年記念5千円金貨の発行枚数、人気需要を見ていきます。
※現存枚数の把握は不可能であり、保存状態も1枚ごとに異なるため、ここでは説明を控えさせて頂きます。
近代通貨制度150周年記念5千円金貨の発行枚数
近代通貨制度150周年記念5千円金貨の発行枚数は、財務省・造幣局の記録によると2万枚です。前述の通り、この2万枚(うち抽選対象数は海外販売用等を控除した18,000枚)に対して申込数は208,788個に上り、当選倍率11.60倍というプレミア感の強い抽選となりました。これは同時発行の1万円金貨幣(当選倍率11.27倍)を上回る倍率で、日本初の5千円額面金貨という希少性の高さがうかがえます。
近代通貨制度150周年記念5千円金貨の人気需要
人気需要に関しては、実際の買取業者の査定価格を確認するのが参考になります。複数の古銭買取専門店を確認したところ、次のような買取価格が提示されていました(2026年8月時点、金相場により毎日変動)。
| 買取業者 | 買取価格 |
|---|---|
| 古銭買取専門店アンティーリンク | 173,000円 |
| 大黒屋 | 143,000円 |
業者によって差はあるものの、いずれも前述の素材価値(約169,172円)に近い水準です。この金貨は純金製かつプルーフ仕上げのプレミアム貨幣ですが、買取価格は素材価値(金相場)に強く連動しており、地金型金貨に近い性格を持つ点が特徴です。
近代通貨制度150周年記念5千円金貨の偽物を見分けるポイント
近代通貨制度150周年記念5千円金貨の公式な重量は7.8g、直径は20mmです。刻印・プルーフ仕上げの質感、磁石への反応、造幣局発行ケースの確認といった基本的な見分け方は1万円金貨版と共通です。詳しい確認手順は近代通貨制度150周年記念1万円金貨の偽物を見分けるポイントで解説していますので、そちらをご参照ください。この5千円金貨は日本初の5千円額面金貨として市場流通量が少なく、フリマアプリやネットオークションで市場価格よりも著しく安い価格で出品されている場合は特に注意してください。不安がある場合は、X線蛍光分析(XRF)による鑑定が可能な、古銭買取の専門家や鑑定士に相談することを強くおすすめします。
近代通貨制度150周年記念5千円金貨を高く売る方法とは?
近代通貨制度150周年記念5千円金貨は銀行に持ち込むと額面通りの扱いしか受けられませんが、下表の通り発行時価格・素材価値・買取相場はいずれも額面を大きく上回ります。売却する際は銀行ではなく、古銭店や記念貨幣を扱う買取店で査定を受けることをおすすめします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 額面 | 5,000円 |
| 発行時の販売価格 | 76,000円(造幣局通信販売、抽選制) |
| 素材 | 純金(99.9%以上) |
| 素材価値(現在) | 約169,172円 |
| 買取実勢価格 | 約143,000円〜173,000円前後 |
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