このコインは、2020年に開催された東京オリンピック・パラリンピック競技大会を記念するシリーズの中で最初に発行された1万円金貨で、造幣局が事前申込・抽選によって直接販売した、額面を大きく上回るプレミアム型の金貨です。図柄には、日本の伝統馬術である流鏑馬の騎手が力強く描かれています。
今回はそんな2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)の価値と買取相場、見分け方について解説していきます。
2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)とは?
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念貨幣は、大会を記念して複数回に分けて発行された記念貨幣シリーズです。このうち第一次発行分の1万円金貨幣は年銘平成30年で発行され、申込受付期間は平成30年7月10日から8月1日でした。
デザインは、表面に疾走する馬に乗り弓を引く流鏑馬の騎手と「心技体」の文字が配されています。

裏面には、東京2020オリンピック競技大会のエンブレムが描かれています。

発行枚数は4万枚です。加えて、令和2年には特別記念貨幣セットの一部として1,000枚が追加発行されており、申込受付期間は令和2年10月21日から11月10日でした(財務省公式資料)。この金貨は収集用に特別な製造方法で仕上げられたプルーフ貨幣で、側面には斜めギザが採用されています。
なお、同じ第一次発行分では千円銀貨幣(水泳・柔道の2種類、いずれも純銀31.1g、直径40.0mm)や100円クラッド貨幣(フェンシング・ボッチャの2種類)も発行されており、裏面にはいずれも東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のエンブレムが共通して描かれています。
2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)の価格の見方
ここで、前提として貨幣の価格の決め方は大きく分けて3つあります。
2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)の額面の価格
1つ目は額面の価格になります。これは要はそのお金に印刷・刻印されている「公式な価値」のことです。例えば、100円玉の額面は100円、500円玉の額面は500円になります。
つまり、今回の2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)の額面は1万円です。
2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)の素材の価格
2つ目は素材の価格になります。これはその貨幣に使われている金属そのものの価値のことです。素材の価格の計算式は下記のように計算します。
素材価値(円)= 重さ(g) × 含有率(%) × 金属価格(円/g)
2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)は純金で、重さ15.6g、直径26.0mmです。古銭場のデータ(記事執筆時点)では、この金貨の素材価格は337,357.68円と算出されています。これを逆算すると、金の価格はおよそ21,625.5円/gという計算になります。
15.6g(重さ)×100%(含有率)×21,625.5円/g(金属価格)=337,357.68円
つまり、額面1万円に対して、素材だけで額面の33倍以上の価値があることになります。金相場は日々変動するため、査定を受けるタイミングによって金額は前後します。
2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)の希少性の価格
希少性の価格は「どれだけ手に入りにくいか」「どれだけ欲しい人がいるか」によって上乗せされる価値のことです。希少性の価格を測る上で必要な要素としては、発行枚数、現存枚数、人気需要、保存状態、歴史的価値などがあります。
これを踏まえた上で、今回の2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)の発行枚数、人気需要、歴史的価値を見ていきます。
※上記3つ以外の2つの要素(現存枚数、保存状態)は現存枚数は把握不可能、保存状態は1枚ずつ違うため推測になってしまいます。なのでここでは説明を控えさせて頂きます。
2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)の発行枚数
2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)の発行枚数は、当初発行分(平成30年銘)が4万枚です。
これに加えて、令和2年には特別記念貨幣セットの一部として1,000枚が追加発行されています。オリンピック記念金貨の中では比較的発行枚数が少なく、希少性の高い部類に入ります。
2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)の人気需要
人気需要に関しては、ヤフオクなどのオークションサイトを参考にしてもらい、いくらで取引されているのかを確認するのが良いです。
※ただ注意点として、オークションで取引されてる額はその貨幣の平均価格ではないです。その貨幣に傷や汚れがどれだけあるか(保存状態)によって価格が変動しますので注意して見てください。
では、今回の2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)を例に見ていきましょう。
| 落札日 | 落札価格 | 状態 |
|---|---|---|
| 7月23日 | 360,000円(1件入札) | 未使用 |
| 7月5日 | 369,930円(26件入札) | プルーフ貨幣セット |
| 4月14日 | 405,568円(22件入札) | プルーフ貨幣セット |
※Yahoo!オークションの終了済み取引(流鏑馬と心技体の図柄が対象の出品のみ)を参考に作成。落札価格は商品の状態や付属品、落札日によって異なります。
上記データのように、36万円〜40万円台で取引される例が目立ちます。発行枚数が4万枚と少なく、金の素材価値も高いことから、発行から10年に満たない比較的新しい記念貨幣でありながら安定して高値で取引されていることが分かります。
2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)の歴史的価値
2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)は、2020年に開催された東京オリンピック・パラリンピック競技大会を記念するシリーズの中で、最初に発行された1万円金貨です。
造幣局に事前に申し込んだ希望者の中から抽選で購入者が決定される仕組みで頒布され、発行時の販売価格は120,000円でした(財務省公式資料)。額面1万円に対して、発行された時点ですでに12倍の価格が設定されていたプレミアム型の貨幣だったことが分かります。
ただし、この金貨は発行からまだ10年に満たない記念貨幣であり、江戸時代の大判・小判のような数百年単位の歴史的価値が確立しているわけではありません。また東京オリンピック・パラリンピック関連の記念貨幣は第一次発行分以降も複数回発行されているため、シリーズの1枚だからといって将来的に高い価値が付き続けると断定することはできません。
2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)の偽物を見分けるポイント
2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)の本物と偽物を見分けるポイントは5つあります。
公式の重量と直径を確認する
2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)の公式な重量は15.6g、直径は26.0mmです。また、素材には純金が使用されています。精密な電子はかりとノギスで測り、重量や直径が公式の数値から大きく外れている場合は、偽物の可能性があります。
ただし、造幣局のケースに入っている金貨は、ケースを含めた重量では判定できません。確認のために無理にケースから取り出すと、金貨に傷や指紋が付き、価値を下げるおそれがあるため注意してください。また、タングステンなど金に近い比重の金属を使い、本物に近い重量へ調整した偽物も考えられるため、ほかの特徴と合わせて確認する必要があります。
図柄の彫りの深さを確認する
本物の表面には、疾走する馬と流鏑馬の騎手、「心技体」の文字が深く精密に彫り込まれています。偽物では、馬や騎手の輪郭がぼやけていたり、文字の彫りが浅く平坦な印象になっていたりする場合があります。
ルーペなどを使って確認し、図柄の細部や文字の太さに不自然な点がないかを見ることが重要です。
側面の斜めギザを確認する
2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)の側面には、斜めギザが採用されています。偽物では、ギザの角度や間隔が不均一だったり、側面に継ぎ目が見られたりする場合があります。側面がツルツルしている、あるいはギザが真っ直ぐ入っているものは、この時点で偽物と判断できます。
プルーフ仕上げのコントラストを確認する
本物は収集用に特別な製造方法で仕上げられたプルーフ貨幣で、鏡面仕上げの地の部分と、艶消し(フロスト)仕上げの図柄部分とのコントラストがはっきりと現れます。
偽物では、このコントラストが甘く、全体的に均一な光沢になっていたり、図柄部分の質感が本物と異なっていたりする場合があります。ただし、経年劣化や保管状態によって本物でも光沢が変化することがあるため、この点だけで断定することはできません。
磁石への反応を確認する
純金は、一般的な磁石に強く引き寄せられる金属ではありません。そのため、金貨が磁石に明確にくっつく場合は、鉄やニッケルなどを使用した偽物の可能性があります。
ただし、磁石に付かなければ本物ということではありません。タングステンなど、金に近い比重を持ちながら磁石にほとんど反応しない金属を使った偽物も考えられるため、他の項目とあわせて確認してください。
2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)を高く売る方法とは?
ここで、こうした記念硬貨を売りたい方へ注意点があります。それは、絶対に銀行で交換してもらわないこと。この2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)は銀行に持っていくと、1万円と交換されます。
理由は、2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)は法定通貨(額面1万円の貨幣)だからです。そのため、銀行では額面どおり1万円として扱われます。
しかし、重要なのはここからです。
この金貨は造幣局への事前申込・抽選という形で頒布されたプレミアム型の貨幣で、発行時の販売価格は120,000円でした。つまり発行された時点で、すでに額面の12倍の価格が付いていたということになります。
また素材の価格は純金100%で作られています。ということは金価格の推移によって価格は大きく変わるということです。
再度整理すると、2020年東京オリンピック競技大会記念1万円金貨(1次)は、
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 額面 | 1万円 |
| 発行時の販売価格 | 120,000円 |
| 素材 | 純金 |
| 素材価値(現在) | 約337,357円 |
| オークション実勢価格帯 | 約36万円〜40万円前後 |
つまり、額面よりも素材や希少性の価格の方が市場価格は大きいことがここで分かります。
なので、もし売却を考えているなら、銀行へ持ち込むのは非常にもったいないです。古銭店や記念貨幣を扱う買取店、オークションなどで査定を受けるほうが高く売れる可能性があります。
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