東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)、この金貨は平成28年(2016年)、東日本大震災からの復興事業の財源確保を目的として、個人向け復興応援国債の保有者への贈呈および一般向け通信販売の形で発行された記念金貨です。第1次から第4次まで4回に分けて発行されたシリーズのうち、今回解説するのはシリーズ最終回にあたる「第4次発行分」です。金貨幣プルーフ貨幣セットの申込倍率は43.97倍にのぼりました。
今回はそんな東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)の価値と買取相場、見分け方について解説していきます。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)とは?
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)は、平成28年(2016年)に日本政府が発行した記念貨幣です。この記念貨幣は、1万円金貨幣と千円銀貨幣の2貨種で構成されています。
1.東日本大震災復興事業記念1万円金貨幣(第4次発行分)2.東日本大震災復興事業記念千円銀貨幣(第4次発行分)

東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)のデザインは、表面に豊かな自然の中を鳥が飛ぶ姿があしらわれています。このデザインは一般公募によって採用された作品です。

裏面には、震災の津波被害を耐え抜いた「奇跡の一本松」とハトがデザインされています。この裏面デザインは、第1次から第4次まで全ての回で共通です。なお、申込・販売は平成28年に行われましたが、貨幣自体の年銘は共通面と同じ「平成27年」と造幣局の資料に記載されています。

なお、同時発行された千円銀貨幣(4次)は、純銀で量目31.1g、直径40mmの貨幣です。表面には握手する日本列島と桜がデザインされており、白色・ピンク色の彩色が施されています。裏面は金貨と同じ「奇跡の一本松とハト」です。千円銀貨幣(4次)は4万枚発行され、販売価格は9,500円でした。
また東日本大震災復興事業記念1万円金貨・千円銀貨幣(4次)ともに、側面には斜めギザが採用されています。さらにこの金貨は、収集用に特別な製造方法で仕上げられたプルーフ貨幣です。図柄部分と背景とのコントラストがはっきりと際立つように仕上げられているのが特徴です。
なお、財務省の資料によると、この記念貨幣の贈呈は、個人向け復興応援国債(第804回債)を発行から3年目の利払日時点で100万円以上保有する方が対象で、残高1,000万円ごとに1万円金貨1枚、100万円ごとに千円銀貨1枚が贈呈される仕組みでした。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)の価格の見方
ここで、前提として貨幣の価格の決め方は大きく分けて3つあります。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)の額面の価格
1つ目は額面の価格になります。これは要はそのお金に印刷・刻印されている「公式な価値」のことです。例えば、100円玉の額面は100円、500円玉の額面は500円になります。つまり、今回の東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)の額面は1万円です。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)の素材の価格
2つ目は素材の価格になります。これはその貨幣に使われている金属そのものの価値のことです。素材の価格の計算式は下記のように計算します。
素材価値(円) = 重さ(g) × 含有率(%) × 金属価格(円/g)
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)は純金(含有率100%)で重さが15.6g、直径は26mmです。古銭場のデータ(記事執筆時点)では、この金貨の素材価値は328,097円と算出されています。これを逆算すると、金の価格はおよそ21,033円/gという計算になります。
15.6g(重さ)×100%(含有量)×21,033円/g(金属価格)=328,115円
つまり、東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)の素材の価格は約33万円だということがここで分かります。金相場は毎日変動するため、査定を受けるタイミングによって金額は前後します。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)の希少性の価格
希少性の価格は「どれだけ手に入りにくいか」「どれだけ欲しい人がいるか」によって上乗せされる価値のことです。希少性の価格を測る上で必要な要素としては、発行枚数、買取相場、オークションでの取引実績、歴史的な位置づけなどがあります。
これを踏まえた上で、今回の東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)の発行枚数、買取相場、オークション実績、歴史的な位置づけを見ていきます。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)の発行枚数
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)の発行枚数は、1万枚です(造幣局公表データ)。発行時の販売価格(税込・送料込)は95,000円でした。純金を使用し加工も特殊なため、貨幣の製造等に要する費用が額面価格を上回る「プレミアム型」の記念貨幣であると財務省は説明しています。
なお、このシリーズは全4次で発行枚数が異なり、1次14,000枚・2次11,000枚・3次10,000枚・4次10,000枚となっています。4次は3次と並んで最も発行枚数が少ない回です。同時発行された千円銀貨幣(4次)は4万枚、販売価格は9,500円でした。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)の買取相場
古銭場では、貴金属買取を行う複数の専門店が公表している買取価格データを確認しています。
七福本舗:342,600円(2026年7月時点、公式サイト公表。「4次」と明記)
アンティーリンク:334,400円(2026年7月時点、公式サイト公表。4次=豊かな自然と鳥のデザインと注記あり)
※買取価格は金相場や店舗、貨幣の状態によって日々変動します。あくまで参考価格としてご覧ください
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)のオークションでの取引実績
人気需要に関しては、ヤフオクなどのオークションサイトを参考にしてもらい、いくらで取引されているのかを確認するのが良いです。
※ただ注意点として、オークションで取引されてる額はその貨幣の平均価格ではないです。その貨幣に傷や汚れがどれだけあるか(保存状態)によって価格が変動しますので注意して見てください。
では、今回の東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)を例に見ていきましょう。
| 落札日 | 落札価格 | 状態 |
|---|---|---|
| 5月17日 | 420,000円 | 未使用・プルーフ貨幣セット(第四次発行分明記) |
| 3月12日 | 471,900円 | 未使用・プルーフ貨幣セット(第四次発行分明記) |
| 2月1日 | 459,000円 | 未使用・金貨単体(4次明記) |
(Yahoo!オークションの終了済み取引のうち、出品名に「4次」「第四次発行分」と明記されているものを参考に作成。落札価格は商品の状態や付属品、落札日によって異なります)
買取参考価格・素材価値よりも高い水準で取引される例が目立ちます。コレクター需要の高さがうかがえます。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)の歴史的な位置づけ
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)は、2011年の東日本大震災からの復興事業の財源を確保するために発行された個人向け復興応援国債と関連づけられた、シリーズ最終回の記念貨幣です。
造幣局の公表データによると、金貨幣プルーフ貨幣セットは申込359,400件に対し、販売予定数量8,173セットで、申込倍率は43.97倍でした。同時発行の銀貨幣プルーフ貨幣セットは申込328,186件に対し、販売予定数量30,766セットで、申込倍率は10.67倍でした。シリーズの中でも特に高い倍率となっており、最終回として人気を集めたことがうかがえます。
ただし、この金貨は発行から10年ほどが経過した記念貨幣であり、江戸時代の大判・小判や明治時代の金貨のような、長い年月を経た歴史的価値が確立しているわけではありません。
また記念貨幣は過去にも度々発行されており、今回が初めてではありません。そのため、記念貨幣だからと言って将来的に高い価値が付き続けると断定することはできません。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)の偽物を見分けるポイント
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)の本物と偽物を見分けるポイントを紹介します。
重量と直径を確認する
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)の公式な重量は15.6g、直径は26mmです。また、素材には純金が使用されています。金貨単体を精密な電子はかりとノギスで測り、重量や直径が公式の数値から外れている場合は、偽物の可能性があります。
ただし、造幣局のケースに入っている金貨は、ケースを含めた重量では判定できません。確認のために無理にケースから取り出すと、金貨に傷や指紋が付き、価値を下げるおそれがあるため注意してください。
図柄と刻印の精密さを確認する
表面の豊かな自然と鳥、裏面の奇跡の一本松とハトは、いずれも彫刻が精緻に仕上げられています。「日本国」「NIPPON」「一万円」「平成二十七年」の刻印が明瞭かどうか、レリーフ(浮き彫り)の線が細部まで滑らかかを、ルーペなどを使って確認しましょう。
偽物では、刻印が浅い、文字線が太い、文字の角が丸い、模様の一部が省略されているといった特徴が見られる場合があります。
プルーフ仕上げのコントラストを確認する
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)は、収集用に特別な製造方法で仕上げられたプルーフ貨幣です。背景部分が鏡のように磨かれ、図柄部分はつや消し(マット)に仕上げられており、両者のコントラストがはっきりと現れます。鏡面部分にくすみがある、コントラストが甘いといった場合は注意が必要です。
ただし、経年劣化や保管状態によって本物でも光沢が変化することがあるため、この点だけで断定することはできません。
磁石への反応を確認する
純金は磁石にほとんど反応しません。磁石にはっきりと引き寄せられる場合は、偽物の可能性が高いといえます。ただし、磁石に反応しないからといって本物と断定することはできません。タングステンなど金と比重の近い金属に金メッキを施した偽造品は、磁石だけでは判別できない場合があります。タングステンの比重は純金とほぼ同じであるため、比重検査だけでも判別が難しいケースがあるので、他の項目とあわせて確認してください。
付属品(ケース)を確認する
正規品は造幣局のケースに封入された状態で販売されています。ケースが開封・破損・改ざんされているものは、真贋の確認が難しくなります。ケースにひび割れや欠けがある場合は、査定額が下がる要因にもなるため注意しましょう。
この金貨は発行枚数が1万枚と少なく、市場流通量が限られています。相場を大幅に下回る価格で出品されている場合は、偽物や詐欺の可能性を疑ったほうがよいでしょう。真贋の判定に迷う場合は、古銭買取の専門業者や鑑定士に相談することをおすすめします。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)を高く売る方法とは?
ここで、こうした記念硬貨を売りたい方へ注意点があります。それは、絶対に銀行で交換してもらわないこと。この東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)は銀行に持っていくと、1万円と交換されます。
理由は、東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)は法定通貨(額面1万円の貨幣)だからです。そのため、銀行では額面どおり1万円として扱われます。
しかし、重要なのはここからです。今回のこの東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)の発行時の販売価格は95,000円でした。また素材は純金100%で作られています。ということは金価格の推移によって価格は大きく変わるということです。
再度整理すると、東日本大震災復興事業記念1万円金貨(4次)は、
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 額面 | 1万円 |
| 発行時の販売価格 | 95,000円 |
| 素材価値 | 約328,097円 |
| 買取参考価格(現在) | 約33万円〜34万円台(複数の買取業者公表データより) |
つまり、額面や発行当時の価格よりも、現在の素材価値・買取相場のほうがはるかに高いことがここで分かります。
なので、もし売却を考えているなら、銀行へ持ち込むのは非常にもったいないです。古銭店や記念貨幣を扱う買取店、オークションなどで査定を受けるほうが高く売れる可能性があります。
古銭場では、複数の買取会社を比較し、お客様に合った買取会社をご紹介しています。まずは各社の無料査定をご利用いただき、査定額やサービス内容を比較してみてください。