平成27年(2015年)に発行された「東日本大震災復興事業記念1万円金貨幣(第一次発行分)、この金貨は、これまで紹介してきた記念貨幣とは発行の仕組みが大きく異なります。銀行の窓口で額面と交換されるものでも、造幣局の通信販売・抽選で購入するものでもなく、「個人向け復興応援国債」を一定額以上購入し、3年間保有し続けた人に対する"贈り物"として発行された金貨だからです。
今回はそんな東日本大震災復興事業記念1万円金貨(1次)の価値と買取相場、見分け方について解説していきます。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(1次)とは?
東日本大震災復興事業記念貨幣は、平成24年(2012年)2月21日、当時の財務大臣が東日本大震災からの復興事業を「国民的な事業」と位置付け、平成27年度に記念貨幣(一万円金貨幣・千円銀貨幣)を発行する方針を明らかにしたことに始まります。
この記念貨幣は、復興財源を確保するために発行された「個人向け復興応援国債(変動10年)」と結びついた仕組みになっている点が最大の特徴です。国債の発行日から3年目にあたる利払日の時点で、この国債を100万円以上保有している人に対して、残高1,000万円ごとに1万円金貨1枚、残高100万円ごとに千円銀貨1枚が贈呈されました。今回紹介する第一次発行分は、平成27年に発行された「第801回債」の購入者を対象にしたものです。国債を保有していない人でも、造幣局からのプルーフ貨幣セットの通信販売(発売価格95,000円)という形で入手することもできました。
この金貨は第一次から第四次まで4回に分けて発行されており、図案の決め方にも違いがあります。第一次発行分の図柄は造幣局が制作したものですが、第二次から第四次にかけての図柄は一般公募によって選ばれた作品が採用されています。
第一次発行分の表面には、岩手県・宮城県・福島県の復興特別区域の地図とハトがデザインされています。

裏面には、津波の被害を免れて復興のシンボルとなった「奇跡の一本松」とハトが描かれており、こちらは第一次から第四次まで全ての回号で共通のデザインです。

素材は純金(品位99.9%以上)、量目15.6g、直径26mm。表面を鏡のように磨き上げるプルーフ仕上げが施され、造幣局発行の専用ケースに収められています。発行枚数は14,000枚です。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(1次)の価格の見方
貨幣の価格の決め方は、大きく分けて3つあります。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(1次)の額面の価格
1つ目は額面の価格です。これは貨幣に印刷・刻印されている「公式な価値」のことで、今回の東日本大震災復興事業記念1万円金貨(1次)の額面は10,000円になります。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(1次)の素材の価格
2つ目は素材の価格になります。これはその貨幣に使われている金属そのものの価値のことです。素材の価格の計算式は下記の通りです。
素材価値(円) = 重さ(g) × 含有率(%) × 金属価格(円/g)
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(1次)は純金(品位99.9%以上)で、重さ15.6g、直径26mmです。古銭場では、この品位・重量をもとに現時点の金相場から素材価値を算出しており、結果は下記の通りです。
素材価値:¥338,344.48
額面10,000円に対して、素材だけで30倍以上の価値があるということがここで分かります。発行当時の頒布価格は95,000円でしたが、その後の金相場の上昇によって、現在は素材価値だけで当時の頒布価格を大きく上回る水準になっています。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(1次)の希少性の価格
希少性の価格は「どれだけ手に入りにくいか」「どれだけ欲しい人がいるか」によって上乗せされる価値のことです。希少性の価格を測る上で必要な要素としては、発行枚数、現存枚数、人気需要、保存状態、歴史的価値などがあります。これを踏まえた上で、今回の東日本大震災復興事業記念1万円金貨(1次)の発行枚数、人気需要を見ていきます。
※現存枚数の把握は不可能であり、保存状態も1枚ごとに異なるため、ここでは説明を控えさせて頂きます。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(1次)の発行枚数
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(1次)の発行枚数は、造幣局の記録によると14,000枚です。このうち、国債保有者への贈呈分と、造幣局からの通信販売分の2つの経路で頒布されています。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(1次)の人気需要
この金貨には「贈呈分」と「通信販売分」という2つの入手経路があり、買取価格の考え方が異なる点に注意が必要です。
まず、素材となる金の価格をもとにした買取価格の目安を見てみましょう。買取業者の中には、田中貴金属工業の店頭買取価格をもとに「金の買取価格×93.5%×15.6g」という計算式で毎日価格を更新しているところがあり、2026年8月7日時点の買取価格は345,800円でした。この計算式は第一次〜第四次のどの回号にも共通して適用されています。
一方で、複数の買取業者が「贈呈分(特製ケース付き)は通信販売分よりも高い価格で買い取られる傾向があり、通信販売分はプレミア価値がなく純金としての価値に相当する価格になる」と説明しています。贈呈分には、金貨と専用ケースのほかに、個人向け国債のマーク入りメッセージや贈呈品に関する連絡先の書かれた紙が付属しており、これらが揃っているかどうかも査定に影響します。
なお、この金貨に関する財務省からの偽造発見・注意喚起の公式発表は、2026年8月時点で確認されていません。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(1次)の偽物を見分けるポイント
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(1次)の本物と偽物を見分けるポイントは5つあります。
公式の重量・直径を確認する
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(1次)の公式な重量は15.6g、直径は26mmです。精密な電子はかりとノギスで測り、大きくずれている場合(目安として±0.5g以上)は、偽物の可能性があります。
磁石への反応だけで判断しない
純金は磁石に反応しない金属です。そのため、磁石に明確にくっつく場合は偽物の可能性が高いといえます。ただし、金とほぼ同じ比重を持つタングステンに金メッキを施した偽造品も存在します。タングステンも磁石には反応せず、比重測定だけでは判別が難しい場合があるため、他の項目とあわせて総合的に確認する必要があります。
刻印・プルーフ仕上げの質感を確認する
本物は「日本国」「NIPPON」「10000」「平成二十七年」などの文字や、復興特別区域の地図・ハトの模様が精密に刻印され、プルーフ仕上げ特有の鏡のような光沢部分と、模様が浮き出るマットな質感のコントラストが鮮明です。
偽物は刻印が浅い、ぼやけている、フォントが不自然といった特徴が見られることがあります。鏡面部分の光沢がなく、全面がマット調あるいは全面が光沢調になっている場合も注意が必要です。
ケース・付属品を確認する
正規品は、造幣局純正のプラスチックカプセルと専用ケース(木箱)に収められています。贈呈分の場合はさらに、青色の外箱・黒色の内箱に感謝状が同封された特製ケースになっています。ケースや付属品が欠けているものは、査定額が下がるだけでなく、出所不明のリスクも高まります。
個人間取引での入手には注意する
フリマアプリやネットオークションでの個人間取引で入手する場合は、特に注意が必要です。市場価格から大きく外れた価格で出品されているものは、偽物・レプリカのリスクを疑いましょう。
不安がある場合は、蛍光X線分析(XRF)による鑑定が可能な、古銭買取の専門家や造幣局が認定する業者に相談することを強くおすすめします。
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(1次)を高く売る方法とは?
東日本大震災復興事業記念1万円金貨(1次)は銀行に持ち込むと額面通りの扱いしか受けられませんが、下表の通り発行時価格・素材価値・買取相場はいずれも額面を大きく上回ります。売却する際は銀行ではなく、古銭店や記念貨幣を扱う買取店で査定を受けることをおすすめします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 額面 | 10,000円 |
| 発行時の頒布価格 | 95,000円(造幣局プルーフ貨幣セット、または国債保有者への贈呈) |
| 素材 | 純金(99.9%以上) |
| 素材価値(現在) | 約338,344円 |
| 買取実勢価格 | 約345,800円前後(田中貴金属の金価格連動、2026年8月時点) |
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