平成27年(2015年)に発行された「地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)」について、今回は解説していきます。
この銀貨は、47都道府県それぞれの図柄をあしらった記念貨幣シリーズの1枚で、和歌山県分には世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の中心地でもある高野山の図柄が採用されています。
今回はそんな和歌山県の地方自治60周年記念千円銀貨の価値と買取相場、見分け方について解説していきます。
地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)とは?
地方自治法施行60周年記念貨幣は、1947年(昭和22年)に施行された地方自治法の60周年を記念し、2008年(平成20年)から47都道府県のデザインを順に取り上げて発行された記念貨幣シリーズです。財務省・総務省が主導したこのプログラムでは、額面通り金融機関で引き換えられる「500円バイカラー・クラッド貨」と、造幣局が事前申込・抽選によって直接販売する「1000円銀貨幣」の2貨種が、都道府県ごとに発行されました。
和歌山県分の1000円銀貨幣は平成27年(2015年)8月に発行され、申込受付期間は同年8月7日から8月27日でした。発行テーマは「高野山開創1200年」です。
デザインは、表面に高野山の「壇上伽藍」があしらわれています。根本大塔を中心とした壇上伽藍は、1977年(昭和52年)に金剛峯寺境内の一部「伽藍地区」として国の史跡に指定されている、日本で最初の本格的な密教伽藍です。裏面は47都道府県共通で、「雪」「月」「花(桜)」が環状に循環するよう構成された「雪月花」の図柄です(年銘は発行年ごとに異なります)。
なお、この銀貨は収集用に特別な製造方法で仕上げられたプルーフ貨幣です。側面には斜めギザが採用されています。
また、和歌山県と同時期(平成27年8月〜平成28年1月)には、額面500円の「那智の滝」(バイカラー・クラッド貨幣、161万枚、平成28年1月20日引換開始)も発行されています。那智の滝は落差日本一(133m)の名瀑で、1972年(昭和47年)に国の名勝に指定され、「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産にも登録されています。
地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)の価格の見方
ここで、前提として貨幣の価格の決め方は大きく分けて3つあります。
地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)の額面の価格
1つ目は額面の価格になります。
これは要はそのお金に印刷・刻印されている「公式な価値」のことです。
例えば、100円玉の額面は100円、500円玉の額面は500円になります。
つまり、今回の地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)の額面は1000円です。
地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)の素材の価格
2つ目は素材の価格になります。
これはその貨幣に使われている金属そのものの価値のことです。
素材の価格の計算式は下記のように計算します。
素材価値(円)= 重さ(g) × 含有率(%) × 金属価格(円/g)
地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)は純銀(銀100%)で、重さ31.1g、直径40.0mmです。
古銭場のデータ(記事執筆時点)では、この銀貨の素材価格は9,827.15円と算出されています。これを逆算すると、銀の価格はおよそ315.99円/gという計算になります。
31.1g(重さ)×100%(含有率)×315.99円/g(金属価格) =9,827.15円
つまり、額面1000円に対して、素材だけで額面の9倍以上の価値があるということが分かります。銀相場は日々変動するため、査定を受けるタイミングによって金額は前後します。
地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)の希少性の価格
希少性の価格は「どれだけ手に入りにくいか」「どれだけ欲しい人がいるか」によって上乗せされる価値のことです。
希少性の価格を測る上で必要な要素としては、発行枚数、現存枚数、人気需要、保存状態、歴史的価値などがあります。
これを踏まえた上で、今回の地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)の発行枚数、人気需要、歴史的価値を見ていきます。
※上記3つ以外の2つの要素(現存枚数、保存状態)は現存枚数は把握不可能、保存状態は1枚ずつ違うため推測になってしまいます。なのでここでは説明を控えさせて頂きます。
地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)の発行枚数
地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)の発行枚数は10万枚です(造幣局の記録より)。
47都道府県シリーズの千円銀貨幣は、各県ともおおむね10万枚に統一されており、和歌山県分もこの標準的な発行枚数となっています。
地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)の人気需要
人気需要に関しては、ヤフオクなどのオークションサイトを参考にしてもらい、いくらで取引されているのかを確認するのが良いです。
※ただ注意点として、オークションで取引されてる額はその貨幣の平均価格ではないです。その貨幣に傷や汚れがどれだけあるか(保存状態)、第三者機関の鑑定があるかによって価格が変動しますので注意して見てください。
では、今回の地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)を例に見ていきましょう。
| 落札日 | 落札価格 | 状態 |
|---|---|---|
| 7月30日 | 8,777円 | 未使用 |
| 7月27日 | 8,315円 | 未使用 |
| 7月14日 | 34,500円 | 未使用・PCGS鑑定済み(PR70DCAM) |
| 6月29日 | 8,566円 | 未使用 |
| 6月14日 | 10,100円 | 未使用 |
※Yahoo!オークションの終了済み取引(単体出品のみ、まとめ売りを除いたもの)を参考に作成。落札価格は商品の状態や付属品、鑑定の有無、落札日によって異なります。
上記データのように、単体のプルーフ貨幣セットであればおおよそ8,300円〜11,000円前後で取引されている落札実績が多く見られます。一方で、第三者機関による鑑定(PCGS等)を受けた商品は3万円台と、大きく高値で取引される傾向にあります。発行枚数10万枚という数の多さもあり、状態や鑑定の有無によって価格に差が出ていることが分かります。
こういうデータも参考にして貨幣取引をすると良いと思います。
地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)の歴史的価値
地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)は、1947年に施行された地方自治法の60周年を記念する47都道府県シリーズの1枚として、高野山という和歌山県を代表する文化的モチーフを後世に伝える貨幣です。
このシリーズの1000円銀貨幣は、造幣局に事前に申し込んだ希望者の中から抽選で購入者が決定される仕組みが取られていました。単体セットの販売価格は6,000円(税込)で、額面1000円に対してすでに6倍の価格が設定されたプレミアム型の貨幣だったことが分かります。なお、和歌山県分に限った具体的な申込数・当選倍率は財務省・造幣局の公表資料からは確認できませんでした。
ただし、この銀貨は発行から10年ほどが経過しているとはいえ、江戸時代の大判・小判のような数百年単位の歴史的価値が確立しているわけではありません。また同じシリーズの記念貨幣は他の46都道府県分も存在するため、「和歌山県」だからといって将来的に他県分より高い価値が付き続けると断定することはできません。
地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)の偽物を見分けるポイント
地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)の本物と偽物を見分けるポイントは5つあります。
公式の重量・直径を確認する
地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)の公式な重量は31.1g、直径は40.0mmです。また、素材には純銀が使用されています。
精密な電子はかりとノギスで測り、これらの数値から大きくずれている場合は、偽物の可能性があります。
ただし、重量や直径が一致していても、それだけで本物とは断定できません。銀に近い比重の別の金属を使い、本物に近い重量へ調整した偽物も考えられるため、ほかの特徴と合わせて確認する必要があります。
潜像加工(傾けたときに浮かぶ文字)を確認する
このシリーズの1000円銀貨幣は、47都道府県共通の裏面「雪月花」の雪の結晶部分に潜像加工が施されており、貨幣を傾けると角度によって文字が浮かび上がる仕様になっています。
この潜像加工は造幣局が開発した偽造防止技術で、光の反射角度によって文字が見えたり消えたりする精密な加工です。角度を変えても文字がまったく浮かび上がらない場合は、偽物の可能性が高いといえます。
側面の斜めギザを確認する
地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)の側面には、偽造防止のための斜めギザが全周に施されています。
偽物では、ギザの角度や間隔が不均一だったり、側面に継ぎ目が見られたりする場合があります。側面がツルツルしている、あるいはギザが真っ直ぐ(垂直)に入っているものは、この時点で偽物と判断できます。
プルーフ仕上げのコントラストを確認する
本物は収集用に特別な製造方法で仕上げられたプルーフ貨幣で、根本大塔をはじめとする壇上伽藍の図柄部分の彫りが深く、鏡面のような背景とのコントラストがはっきりと現れます。
偽物では、このコントラストが甘く、図柄の輪郭がぼやけていたり、彫りが浅く平坦な印象になっていたりする場合があります。
ただし、経年劣化や保管状態によって本物でも光沢が変化することがあるため、この点だけで断定することはできません。
磁石への反応を確認する
銀は、一般的な磁石に強く引き寄せられる金属ではありません。
そのため、銀貨が磁石に明確にくっつく場合は、鉄やニッケルなどを使用した偽物の可能性があります。
ただし、磁石に付かなければ本物ということではありません。銅やタングステンなど、磁石にほとんど反応しない金属を使った偽物も考えられるため、他の項目とあわせて確認してください。
地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)を高く売る方法とは?
ここで、こうした記念硬貨を売りたい方へ注意点があります。
それは、絶対に銀行で交換してもらわないこと。
この地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)は銀行に持っていくと、1000円と交換されます。
理由は、地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)は法定通貨(額面1000円の貨幣)だからです。そのため、銀行では額面どおり1000円として扱われます。
しかし、重要なのはここからです。
この銀貨は東京オリンピック記念貨幣のように金融機関の窓口で額面交換されたものではなく、造幣局への事前申込・抽選という形で、額面を上回る価格(単体セットで6,000円、税込)で頒布されたプレミアム型の貨幣です。つまり、発行された時点からすでに額面の6倍の価格が付いていたということになります。
また素材の価格は純銀(銀100%)で作られています。ということは銀価格の推移によって価格は変わるということです。
再度整理すると、地方自治60周年記念千円銀貨(和歌山県)は、
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 額面 | 1000円 |
| 発行時の販売価格 | 6,000円(税込・単体セット) |
| 素材 | 純銀(銀100%) |
| 素材価値(現在) | 約9,827円 |
| オークション実勢価格帯 | 約8,300円〜11,000円前後(鑑定済み品はより高値) |
つまり、額面よりも素材や希少性の価格の方が市場価格は大きいことがここで分かります。
なので、もし売却を考えているなら、銀行へ持ち込むのは非常にもったいないです。古銭店や記念貨幣を扱う買取店、オークションなどで査定を受けるほうが高く売れる可能性があります。
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