平成23年(2011年)に発行された「地方自治法施行60周年記念千円銀貨幣(岩手県)」、この銀貨は、47都道府県それぞれの図柄をあしらった記念貨幣シリーズの1枚で、岩手県分には世界遺産にも登録される中尊寺・毛越寺の図柄が採用されています。さらに岩手県分は、国際的なコインコンペティションで賞を受賞したことをきっかけに追加発行が行われた、シリーズの中でも珍しい経歴を持つ1枚でもあります。
今回はそんな岩手県の地方自治法施行60周年記念千円銀貨幣の価値と買取相場、見分け方について解説していきます。
地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)とは?
地方自治法施行60周年記念貨幣は、1947年(昭和22年)に施行された地方自治法の60周年を記念し、2008年(平成20年)から47都道府県のデザインを1県ずつ順に取り上げて発行された記念貨幣シリーズです。財務大臣・総務大臣が発表したこのプログラムでは、額面通り金融機関で引き換えられる「500円バイカラー・クラッド貨」と、造幣局が事前申込・抽選によって直接販売する「1000円銀貨幣」の2貨種が、都道府県ごとに発行されました。
岩手県分の1000円銀貨幣は平成23年(2011年)10月に発行され、申込受付期間は同年10月5日から10月25日でした。
デザインは、表面に中尊寺金色堂・中尊寺ハス・毛越寺浄土庭園があしらわれています。

裏面は47都道府県共通で、雪月花の図柄です(年銘は発行年ごとに異なります)。
なお、この銀貨は収集用に特別な製造方法で仕上げられたプルーフ貨幣で、貨幣を傾けると、裏面の雪の結晶部分に「60」または「47」の文字が浮かび上がる潜像加工が施されているのが大きな特徴です。側面には斜めギザが採用されています。
さらに岩手県分には特筆すべき経緯があります。世界造幣局長会議で行われたコインコンペティションにおいて「最も美しい貨幣(金貨以外の記念貨幣部門)」に選ばれたことを受け、平成24年(2012年)銘で1万枚が追加発行されました。当初発行分(平成23年銘・10万枚)に加えて後から追加発行が行われるのは、この記念貨幣シリーズの中でも異例のことです。
地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)の価格の見方
ここで、前提として貨幣の価格の決め方は大きく分けて3つあります。
地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)の額面の価格
1つ目は額面の価格になります。これは要はそのお金に印刷・刻印されている「公式な価値」のことです。
例えば、100円玉の額面は100円、500円玉の額面は500円になります。つまり、今回の地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)の額面は1000円です。
地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)の素材の価格
2つ目は素材の価格になります。これはその貨幣に使われている金属そのものの価値のことです。素材の価格の計算式は下記のように計算します。
素材価値(円)= 重さ(g) × 含有率(%) × 金属価格(円/g)
地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)は純銀(銀100%)で、重さ31.1g、直径40.0mmです。古銭場のデータ(記事執筆時点)では、この銀貨の素材価格は9,720.78円と算出されています。これを逆算すると、銀の価格はおよそ312.6円/gという計算になります。
31.1g(重さ)×100%(含有率)×312.6円/g(金属価格)=9,720.78円
つまり、額面1000円に対して、素材だけで額面の9倍以上の価値があるということが分かります。銀相場は日々変動するため、査定を受けるタイミングによって金額は前後します。
地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)の希少性の価格
希少性の価格は「どれだけ手に入りにくいか」「どれだけ欲しい人がいるか」によって上乗せされる価値のことです。希少性の価格を測る上で必要な要素としては、発行枚数、現存枚数、人気需要、保存状態、歴史的価値などがあります。
これを踏まえた上で、今回の地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)の発行枚数、人気需要、歴史的価値を見ていきます。
※上記3つ以外の2つの要素(現存枚数、保存状態)は現存枚数は把握不可能、保存状態は1枚ずつ違うため推測になってしまいます。なのでここでは説明を控えさせて頂きます。
地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)の発行枚数
地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)の発行枚数は、当初発行分(平成23年銘)が10万枚です。
これに加えて、前述の「最も美しい貨幣」受賞を受けた追加発行分(平成24年銘)が1万枚あります。追加発行分は当初発行分より枚数が少なく、年銘も異なるため、コレクターの間では区別して扱われる傾向があります。
地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)の人気需要
人気需要に関しては、ヤフオクなどのオークションサイトを参考にしてもらい、いくらで取引されているのかを確認するのが良いです。
※ただ注意点として、オークションで取引されてる額はその貨幣の平均価格ではないです。その貨幣に傷や汚れがどれだけあるか(保存状態)、年銘(平成23年銘か平成24年銘か)によって価格が大きく変動しますので注意して見てください。
では、今回の地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)を例に見ていきましょう。
| 落札日 | 落札価格 | 状態・年銘 |
|---|---|---|
| 7月21日 | 43,500円(26件入札) | 未使用・平成24年銘(追加発行分)Aセット |
| 7月21日 | 9,750円(19件入札) | 未使用・平成23年銘(当初発行分)Aセット |
| 7月8日 | 10,286円(18件入札) | プルーフ単体 |
| 6月28日 | 11,503円(21件入札) | 切手付きBセット |
※Yahoo!オークションの終了済み取引を参考に作成。落札価格は商品の状態や年銘、付属品、落札日によって異なります。同サイトの直近180日間の集計(68件)では、最安9,300円・最高429,366円・平均41,482円となっていますが、これは高額な平成24年銘(追加発行分)の落札事例も含まれた数字である点に注意してください。
上記データのように、通常の平成23年銘(当初発行分)は1万円前後で取引される例が多い一方、希少な平成24年銘(追加発行分)は4万円前後と、4倍以上の価格差が付いています。同じ「岩手県」の銀貨でも、年銘によって価値が大きく異なることが分かります。
地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)の歴史的価値
地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)は、1947年に施行された地方自治法の60周年を記念する47都道府県シリーズの1枚として、岩手県の中尊寺金色堂・毛越寺浄土庭園という文化的なモチーフを後世に伝える貨幣です。
このシリーズの1000円銀貨幣は、造幣局に事前に申し込んだ希望者の中から抽選で購入者が決定され、代金引換で発送される仕組みが取られていました。単体セットの販売価格は6,000円(税込・増税前の価格)で、額面1000円に対してすでに6倍の価格が設定されたプレミアム型の貨幣だったことが分かります。
加えて岩手県分は、世界造幣局長会議のコインコンペティションで「最も美しい貨幣」に選ばれたことで追加発行が行われたという、47都道府県シリーズの中でも珍しい経緯を持っています。
ただし、この銀貨は発行から10年以上が経過しているとはいえ、江戸時代の大判・小判のような数百年単位の歴史的価値が確立しているわけではありません。また同じシリーズの記念貨幣は他の46都道府県分も存在するため、「岩手県」だからといって将来的に他県分より高い価値が付き続けると断定することはできません。
地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)の偽物を見分けるポイント
地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)の本物と偽物を見分けるポイントは5つあります。
公式の重量・直径を確認する
地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)の公式な重量は31.1g、直径は40.0mmです。また、素材には純銀が使用されています。精密な電子はかりとノギスで測り、これらの数値から大きくずれている場合は、偽物の可能性があります。
ただし、重量や直径が一致していても、それだけで本物とは断定できません。銀に近い比重の別の金属を使い、本物に近い重量へ調整した偽物も考えられるため、ほかの特徴と合わせて確認する必要があります。
潜像加工(傾けたときに浮かぶ文字)を確認する
このシリーズの1000円銀貨幣には、裏面の雪の結晶部分に潜像加工が施されており、貨幣を下向きに傾けると「60」の文字が、上向きに傾けると「47」の文字が浮かび上がります。
この潜像加工は造幣局が開発した偽造防止技術で、光の反射角度によって文字が見えたり消えたりする精密な加工です。角度を変えても文字がまったく浮かび上がらない場合や、常に文字が見えてしまっている場合は、偽物の可能性が高いといえます。
側面の斜めギザを確認する
地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)の側面には、偽造防止のための斜めギザが全周に施されています。
偽物では、ギザの角度や間隔が不均一だったり、側面に継ぎ目が見られたりする場合があります。側面がツルツルしている、あるいはギザが真っ直ぐ(垂直)に入っているものは、この時点で偽物と判断できます。
プルーフ仕上げのコントラストを確認する
本物は収集用に特別な製造方法で仕上げられたプルーフ貨幣で、図柄部分の彫りが深く、鏡面のような背景とのコントラストがはっきりと現れます。
偽物では、このコントラストが甘く、図柄の輪郭がぼやけていたり、彫りが浅く平坦な印象になっていたりする場合があります。
ただし、経年劣化や保管状態によって本物でも光沢が変化することがあるため、この点だけで断定することはできません。
磁石への反応を確認する
銀は、一般的な磁石に強く引き寄せられる金属ではありません。そのため、銀貨が磁石に明確にくっつく場合は、鉄やニッケルなどを使用した偽物の可能性があります。
ただし、磁石に付かなければ本物ということではありません。銅やタングステンなど、磁石にほとんど反応しない金属を使った偽物も考えられるため、他の項目とあわせて確認してください。
地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)を高く売る方法とは?
地方自治60周年記念千円銀貨(岩手県)は銀行に持ち込むと額面通りの扱いしか受けられませんが、下表の通り発行時価格・素材価値・買取相場はいずれも額面を大きく上回ります。売却する際は銀行ではなく、古銭店や記念貨幣を扱う買取店で査定を受けることをおすすめします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 額面 | 1000円 |
| 発行時の販売価格 | 6,000円(税込・単体セット) |
| 素材 | 純銀(銀100%) |
| 素材価値(現在) | 約9,720円 |
| オークション実勢価格帯 | 約1万円前後(平成23年銘)/約4万円前後(平成24年追加発行分) |
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