2020年に開催された東京オリンピック競技大会を記念して、平成30年(2018年)から令和2年(2020年)にかけて4回に分けて発行された「東京2020オリンピック競技大会記念千円銀貨幣」、このシリーズは、水泳・陸上競技・柔道など9つの競技を図柄にした純銀の記念貨幣で、金融機関の窓口での引換えではなく、造幣局への事前申込・抽選という形で頒布されたプレミアム型の貨幣です。
今回はそんな2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨の価値と買取相場、見分け方について解説していきます。
2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨とは?
財務省は、2020年に開催される東京オリンピック競技大会を記念する貨幣を、大会開催に向けて第一次発行分から第四次発行分まで4回に分けて発行することを決定しました。このうち額面千円の銀貨幣(千円銀貨幣)は、財務省の公式資料によると次の9つの図柄・発行回次に分かれています。
| 発行回次 | 図柄(競技) | 年銘 | 発行枚数 |
|---|---|---|---|
| 第一次発行分 | 水泳 | 平成30年 | 10万枚 |
| 第二次発行分 | 陸上競技 | 平成31年 | 10万枚 |
| 第二次発行分 | バドミントン | 平成31年 | 10万枚 |
| 第二次発行分 | 野球・ソフトボール | 平成31年 | 10万枚 |
| 第三次発行分 | 体操 | 令和元年 | 10万枚 |
| 第三次発行分 | 柔道 | 令和元年 | 10万枚 |
| 第三次発行分 | 卓球 | 令和元年 | 10万枚 |
| 第四次発行分 | ボクシング | 令和2年 | 10万枚 |
| 第四次発行分 | レスリング | 令和2年 | 10万枚 |
合計9種類・発行枚数は90万枚です(財務省・造幣局公式資料に基づく)。
いずれも表面には各競技の選手の動作が描かれ、

裏面には「東京2020オリンピック競技大会エンブレムとソメイヨシノとイチョウの葉」の意匠が共通してあしらわれています。

素材は純銀(品位100%)、量目31.1g、直径40mmで9種類すべて統一されており、白・黒・青・青紫・赤・黄・緑の7色を使った彩色仕上げに加え、偽造防止のための「斜めギザ」と「潜像」加工が施されているのも共通の特徴です。
この千円銀貨幣は、金融機関の窓口における額面引換えは行われず、独立行政法人造幣局からの通信販売(はがきまたはオンラインショップでの事前申込)という形で頒布されました。申込数が販売数を上回った場合は抽選が実施されており、例えば第一次発行分「水泳」では申込数472,089個に対し抽選対象数81,000個、当選倍率5.8倍だったことが造幣局の公式資料(抽選方法の説明PDF)で公表されています。
2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨の価格の見方
ここで、前提として貨幣の価格の決め方は大きく分けて3つあります。
2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨の額面の価格
1つ目は額面の価格になります。これは要はそのお金に印刷・刻印されている「公式な価値」のことです。例えば、100円玉の額面は100円、500円玉の額面は500円になります。
つまり、今回の2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨の額面は、9種類すべて共通して1000円です。
2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨の素材の価格
2つ目は素材の価格になります。これはその貨幣に使われている金属そのものの価値のことです。素材の価格の計算式は下記のように計算します。
素材価値(円)= 重さ(g) × 含有率(%) × 金属価格(円/g)
2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨は純銀(品位100%)で、重さ31.1g、直径40mmです。9種類とも同じ規格のため、素材価値は図柄によって変わりません。
古銭場のデータ(記事執筆時点)では、この千円銀貨の素材価格は9,248.53円と算出されています。これを逆算すると、銀の価格はおよそ297.38円/gという計算になります。
31.1g(重さ)×100%(含有率)×297.38円/g(金属価格)=9,248.53円
つまり、額面1000円に対して、素材だけで9倍以上の価値があることになります。銀相場は日々変動するため、査定を受けるタイミングによって金額は前後します。
2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨の希少性の価格
希少性の価格は「どれだけ手に入りにくいか」「どれだけ欲しい人がいるか」によって上乗せされる価値のことです。希少性の価格を測る上で必要な要素としては、発行枚数、現存枚数、人気需要、保存状態、歴史的価値などがあります。
これを踏まえた上で、今回の2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨の発行枚数、人気需要、歴史的価値を見ていきます。
※上記3つ以外の2つの要素(現存枚数、保存状態)は現存枚数は把握不可能、保存状態は1枚ずつ違うため推測になってしまいます。なのでここでは説明を控えさせて頂きます。
2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨の発行枚数
2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨の発行枚数は、9種類それぞれ10万枚、シリーズ合計で90万枚です。
同じシリーズの1万円金貨幣(各次4万枚)と比べると発行枚数は多い部類に入りますが、いずれも造幣局への事前申込・抽選による頒布のため、申込時点で常に需要が供給を上回る状態が続いていました。
2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨の人気需要
人気需要に関しては、ヤフオクなどのオークションサイトを参考にしてもらい、いくらで取引されているのかを確認するのが良いです。
※ただ注意点として、オークションで取引されてる額はその貨幣の平均価格ではないです。その貨幣に傷や汚れがどれだけあるか(保存状態)によって価格が変動しますので注意して見てください。
では、今回の2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨を例に見ていきましょう。
| 落札日 | 図柄 | 落札価格 | 状態 |
|---|---|---|---|
| 8月2日 | ボクシング | 8,400円 | 未使用 |
| 8月2日 | 陸上競技 | 8,500円 | 未使用 |
| 7月30日 | 水泳 | 9,000円 | 未使用 |
| 7月28日 | 柔道 | 9,800円 | 未使用 |
| 7月28日 | レスリング | 7,205円 | 未使用 |
※Yahoo!オークションの終了済み取引(単体出品のみ、複数枚まとめ売り・パラリンピック版・1964年の東京オリンピック千円銀貨との混同を除いたもの)を参考に作成。落札価格は商品の状態や付属品、落札日によって異なります。
上記データのように、単体のプルーフ貨幣セットであればおおよそ7,000円〜9,800円前後で取引されている落札実績が多く、発行時の販売価格(9,500円〜9,676円)を下回るケースも目立ちます。一方で、第三者機関による鑑定(PCGS等)を受けた商品は1万7千円前後、9種類すべてを揃えたコンプリートセットは8万7千円前後というように、状態や鑑定の有無、単品かセットかによって価格に大きな差が出ていることが分かります。
こういうデータも参考にして貨幣取引をすると良いと思います。
2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨の歴史的価値
2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨は、2020年に開催予定だった東京オリンピック競技大会を記念して、大会開催前までに4回に分けて発行されたシリーズです。実際の大会は新型コロナウイルス感染症の影響で2021年に延期開催されましたが、貨幣自体は「2020年東京オリンピック競技大会記念貨幣」という名称・発行スケジュールのまま第一次〜第四次発行分が予定通り頒布されました。
この千円銀貨幣は造幣局への事前申込・抽選という形で頒布され、発行時の販売価格は9,500円(第一次・第二次発行分)または9,676円(第三次・第四次発行分)でした。額面1000円に対して、発行された時点ですでに9倍以上の価格が設定されていたプレミアム型の貨幣だったことが分かります。
ただし、この銀貨は発行からまだ10年に満たない記念貨幣であり、江戸時代の大判・小判のような数百年単位の歴史的価値が確立しているわけではありません。またオリンピック関連の記念貨幣はこのシリーズ以降も発行される可能性があるため、記念貨幣だからといって将来的に高い価値が付き続けると断定することはできません。
2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨の偽物を見分けるポイント
2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨の本物と偽物を見分けるポイントは5つあります。9種類の図柄すべてに共通する見分け方です。
公式の重量・直径を確認する
2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨の公式な重量は31.1g、直径は40mmです。また、素材には純銀(品位100%)が使用されています。精密な電子はかりとノギスで測り、これらの数値から大きくずれている場合は、偽物の可能性があります。
ただし、造幣局のケースに入っている状態では、ケースを含めた重量では判定できません。無理にケースから取り出すと図柄に傷や指紋が付き価値を下げるおそれがあるため注意してください。
側面の斜めギザを確認する
2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨の側面には、偽造防止のための斜めギザが施されています。側面がツルツルしている、あるいはギザが真っ直ぐ入っているものは、この時点で偽物と判断できます。
潜像加工を確認する
本物には、コインを傾けると特定の図柄や文字が見え隠れする「潜像」という偽造防止加工が施されています。コインを斜めに傾けて潜像が明確に確認できるかを見ることが重要です。見えない、または不鮮明な場合は偽造品の可能性があります。
彩色の精密さを確認する
本物の彩色は、白・黒・青・青紫・赤・黄・緑の7色を使い、精密でエッジがシャープに仕上げられています。偽物では、色のにじみや色落ち、剥がれが見られたり、図柄と彩色の境界が不自然だったりする場合があります。
磁石への反応を確認する
純銀は、一般的な磁石に強く引き寄せられる金属ではありません。そのため、銀貨が磁石に明確にくっつく場合は、鉄やニッケルなどを使用した偽物の可能性があります。
ただし、磁石に付かなければ本物ということではありません。銅など、磁石にほとんど反応しない金属を使った偽物も考えられるため、他の項目とあわせて確認してください。
2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨を高く売る方法とは?
2020年東京オリンピック競技大会記念千円銀貨は銀行に持ち込むと額面通りの扱いしか受けられませんが、下表の通り発行時価格・素材価値・買取相場はいずれも額面を大きく上回ります。売却する際は銀行ではなく、古銭店や記念貨幣を扱う買取店で査定を受けることをおすすめします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 額面 | 1000円 |
| 発行時の販売価格 | 9,500円〜9,676円(次による) |
| 素材 | 純銀(品位100%) |
| 素材価値(現在) | 約9,248円 |
| オークション実勢価格帯(単体) | 約7,000円〜9,800円前後(鑑定済み品はより高値) |
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