この銀貨は、日本で初めて発行された記念貨幣であり、同時に日本史上初めて誕生した「千円」という額面の貨幣でもあります。発行当日には金融機関の窓口に長蛇の列ができ、たちまち品切れになったという記録が残る、当時としては異例の人気を集めた1枚です。今回はそんな東京オリンピック千円銀貨の価値と買取相場、見分け方について解説していきます。
東京オリンピック千円銀貨とは?
東京オリンピック千円銀貨は、1964年(昭和39年)に開催された第18回夏季オリンピック東京大会を記念して発行された、日本で初めての記念貨幣です。この記念貨幣は、額面100円の銀貨幣と額面1000円の銀貨幣の2貨種で構成されています。
東京オリンピック記念100円銀貨幣(1964年9月21日発行、発行枚数80,008,056枚)
東京オリンピック記念1000円銀貨幣(1964年10月2日発行、発行枚数15,001,516枚)
この千円銀貨は、日本の貨幣史上初めて登場した「千円」額面の貨幣という記録も持っています。東京オリンピック千円銀貨のデザインは、表面に日本の象徴である富士山と国花の桜があしらわれています。

裏面には、桜と五輪マーク、そして算用数字の「1000」が刻まれています。

なお、東京オリンピック千円銀貨の側面には、偽造防止のためのギザ(リード加工)が全周に施されています。
東京オリンピック千円銀貨の価格の見方
ここで、前提として貨幣の価格の決め方は大きく分けて3つあります。
東京オリンピック千円銀貨の額面の価格
1つ目は額面の価格になります。これは要はそのお金に印刷・刻印されている「公式な価値」のことです。例えば、100円玉の額面は100円、500円玉の額面は500円になります。つまり、今回の東京オリンピック千円銀貨の額面は1000円です。前述の通り、これは日本で初めて発行された千円額面の貨幣でもあります。
東京オリンピック千円銀貨の素材の価格
2つ目は素材の価格になります。これはその貨幣に使われている金属そのものの価値のことです。素材の価格の計算式は下記のように計算します。素材価値(円) = 重さ(g) × 含有率(%) × 金属価格(円/g)東京オリンピック千円銀貨は銀92.5%・銅7.5%の合金で、重さ20g、直径35mmです。古銭場では、この品位・重量をもとに現時点の銀相場から素材価値を算出しており、結果は下記の通りです。素材価値:¥5,563.92つまり、額面1000円に対して、素材だけで5倍以上の価値があるということがここで分かります。
東京オリンピック千円銀貨の希少性の価格
希少性の価格は「どれだけ手に入りにくいか」「どれだけ欲しい人がいるか」によって上乗せされる価値のことです。希少性の価格を測る上で必要な要素としては、発行枚数、現存枚数、人気需要、保存状態、歴史的価値などがあります。これを踏まえた上で、今回の東京オリンピック千円銀貨の発行枚数、人気需要、歴史的価値を見ていきます。※上記3つ以外の2つの要素(現存枚数、保存状態)は現存枚数は把握不可能、保存状態は1枚ずつ違うため推測になってしまいます。なのでここでは説明を控えさせて頂きます。
東京オリンピック千円銀貨の発行枚数
東京オリンピック千円銀貨の発行枚数は、造幣局の記録によると15,001,516枚です。約1,500万枚という発行数は、記念貨幣としては比較的多い部類に入ります。なお、同時に発行された100円銀貨の発行枚数は80,008,056枚と、こちらはさらに大規模です。
東京オリンピック千円銀貨の人気需要
人気需要に関しては、ヤフオクやメルカリなどのオークションサイトを参考にしてもらい、いくらで取引されているのかを確認するのが良いです。
※注意点:オークションで取引されてる額はその貨幣の平均価格ではないです。その貨幣に傷や汚れがどれだけあるか(保存状態)によって価格が変動しますので注意して見てください。では、今回の東京オリンピック千円銀貨を例に見ていきましょう。
| 落札日 | 落札価格 | 状態 |
|---|---|---|
| 7月21日 | 5,500円 | 通常品 |
| 7月20日 | 4,850円 | 未使用 |
| 7月19日 | 6,250円 | 美品・コインカプセル入り |
| 7月19日 | 10,100円 | 未使用・NGC鑑定済み(MS65) |
| 7月18日 | 3,800円 | 通常品 |
※Yahoo!オークションの終了済み取引(単体出品のみ、複数枚まとめ売り・2020年東京オリンピック記念貨との混同を除いたもの)参考。落札価格は商品の状態や付属品、落札日によって異なります。上記データのように、単体・並品であればおおよそ3,800円〜6,300円前後で取引されている落札実績が多く見られます。一方で第三者機関による鑑定(NGC等)を受けた商品は1万円前後と、より高値で取引される傾向にあります。1,500万枚という発行数の多さもあり、額面や素材価値からかけ離れた高額プレミアがつくケースは限定的ですが、状態や鑑定の有無によって差が出ていることが分かります。
東京オリンピック千円銀貨の歴史的価値
東京オリンピック千円銀貨は、1964年(昭和39年)に開催された第18回夏季オリンピック東京大会を後世に伝える、日本で初めての記念貨幣です。引換は金融機関の窓口で、額面通りの1000円と交換する形で行われました。しかし引換開始と同時に窓口には大行列ができ、間もなく品切れとなり、直ちにプレミアムつきで貨幣商に販売されるほどの反響だったと伝えられています。実際、1973年(昭和48年)初頭には空前の高値を付け、千円銀貨が2万円を超える価格で取引された例もあったとされています。ただし、この銀貨は発行から60年以上が経過しているとはいえ、江戸時代の大判・小判のような数百年単位の歴史的価値が確立しているわけではありません。また記念貨幣は東京オリンピック以降も度々発行されているため、記念貨幣だからといって将来的に高い価値が付き続けると断定することはできません。
東京オリンピック千円銀貨の偽物を見分けるポイント
東京オリンピック千円銀貨の本物と偽物を見分けるポイントは5つあります。
公式の重量・直径・厚さを確認する
東京オリンピック千円銀貨の公式な重量は20.0g、直径は35mm、厚さは2.50mmです。また、素材には銀92.5%(スターリングシルバー)が使用されています。精密な電子はかりとノギスで測り、これらの数値から1g以上ずれている場合は、偽物の可能性があります。ただし、重量や直径が一致していても、それだけで本物とは断定できません。銀に近い比重の別の金属を使い、本物に近い重量へ調整した偽物も考えられるため、ほかの特徴と合わせて確認する必要があります。
側面のギザ(リード加工)を確認する
東京オリンピック千円銀貨の側面には、全周にわたって偽造防止のギザ(リード加工)が施されています。側面がツルツルしているものは、この時点で偽物と判断できます。リード加工の有無は、比較的簡単に確認できるポイントです。
図柄の彫りの深さを確認する
本物の表面には富士山と桜、裏面には桜・五輪マーク・「1000」の数字が、それぞれ深く彫り込まれています。偽物では彫りが浅く、富士山や五輪マークの凹凸が平坦な印象になっている場合があります。ルーペなどを使って確認し、図柄の輪郭や文字の太さに不自然な点がないかを見ることが重要です。
磁石への反応を確認する
銀は、一般的な磁石に強く引き寄せられる金属ではありません。そのため、銀貨が磁石に明確にくっつく場合は、鉄やニッケルなどを使用した偽物の可能性があります。ただし、磁石に付かなければ本物ということではありません。銅やタングステンなど、磁石にほとんど反応しない金属を使った偽物も考えられるため、他の項目とあわせて確認してください。
レプリカ・土産品との違いに注意する
東京オリンピック千円銀貨は知名度が高い記念貨幣のため、観光土産品として作られたレプリカが本物として流通してしまうケースがあります。正規のレプリカ品には「COPY」の刻印が入っているのが一般的ですが、中にはこの刻印がない模造品も存在するため、特に注意が必要です。出どころが分からないものや、極端に安い価格で売られているものは、購入・査定の前に慎重に確認することをおすすめします。
東京オリンピック千円銀貨を高く売る方法とは?
東京オリンピック千円銀貨は銀行に持ち込むと額面通りの扱いしか受けられませんが、下表の通り発行時価格・素材価値・買取相場はいずれも額面を大きく上回ります。売却する際は銀行ではなく、古銭店や記念貨幣を扱う買取店で査定を受けることをおすすめします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 額面 | 1000円 |
| 発行時の引換価格 | 1000円(金融機関窓口) |
| 素材 | 銀92.5%・銅7.5% |
| 素材価値(現在) | 約5,563円 |
| オークション実勢価格帯 | 約3,800円〜10,000円前後(状態・鑑定の有無による) |
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