この金貨は令和元年(2019年)、天皇陛下の御即位を記念して日本政府が発行した記念金貨です。単体セットだけで28万件を超える申込みが寄せられ、抽選でようやく手に入る人気ぶりでした。なお、同じ2019年には「天皇陛下御在位30年記念1万円金貨」(平成31年発行)という別の記念金貨も発行されているため、名前が似ている両者を混同しないよう注意してください。今回解説するのは、あくまで令和元年発行の「御即位記念」の金貨です。今回はそんな天皇陛下御即位記念1万円金貨の価値と買取相場、見分け方について解説していきます。
天皇陛下御即位記念1万円金貨とは?
天皇陛下御即位記念1万円金貨は、令和元年(2019年)5月の天皇陛下御即位を記念して、日本政府が発行した記念貨幣です。この記念貨幣は、1万円金貨幣と500円バイカラー・クラッド貨幣の2貨種で構成されています。
1.天皇陛下御即位記念1万円金貨幣 2.天皇陛下御即位記念500円バイカラー・クラッド貨幣
天皇陛下御即位記念1万円金貨のデザインは、表面に鳳凰と瑞雲があしらわれています。

裏面には、皇室の御紋章である菊花紋章と、天皇陛下のお印である梓、皇后陛下のお印であるハマナスが刻まれています。

なお、同時発行された500円バイカラー・クラッド貨幣は、ニッケル黄銅・白銅・銅の3層構造でできており、量目7.1g、直径26.5mm、側面には異形斜めギザが採用されています。表面には高御座、裏面には金貨と同じ図柄がデザインされています。この500円貨は令和元年10月18日から、通常の500円硬貨と引き換える形で金融機関の窓口でも入手できました(発行枚数500万枚のうち497万枚が引換分)。
また天皇陛下御即位記念1万円金貨の側面には、斜めギザが採用されています。
さらにこの金貨は、収集用に特別な製造方法で仕上げられたプルーフ貨幣です。図柄部分と背景とのコントラストがはっきりと際立つように仕上げられているのが特徴です。
天皇陛下御即位記念1万円金貨の価格の見方
ここで、前提として貨幣の価格の決め方は大きく分けて3つあります。
天皇陛下御即位記念1万円金貨の額面の価格
1つ目は額面の価格になります。これは要はそのお金に印刷・刻印されている「公式な価値」のことです。例えば、100円玉の額面は100円、500円玉の額面は500円になります。つまり、今回の天皇陛下御即位記念1万円金貨の額面は1万円です。
天皇陛下御即位記念1万円金貨の素材の価格
2つ目は素材の価格になります。これはその貨幣に使われている金属そのものの価値のことです。素材の価格の計算式は下記のように計算します。
素材価値(円) = 重さ(g) × 含有率(%) × 金属価格(円/g)
天皇陛下御即位記念1万円金貨は純金(含有率100%)で重さが20g、直径は28mmです。古銭場のデータ(記事執筆時点)では、この金貨の素材価値は420,637円と算出されています。これを逆算すると、金の価格はおよそ21,032円/gという計算になります。
20g(重さ)×100%(含有量)×21,032円/g(金属価格)=420,637円
つまり、天皇陛下御即位記念1万円金貨の素材の価格は約42万円だということがここで分かります。金相場は毎日変動するため、査定を受けるタイミングによって金額は前後します。
天皇陛下御即位記念1万円金貨の希少性の価格
希少性の価格は「どれだけ手に入りにくいか」「どれだけ欲しい人がいるか」によって上乗せされる価値のことです。希少性の価格を測る上で必要な要素としては、発行枚数、買取相場、オークションでの取引実績、歴史的な位置づけなどがあります。
これを踏まえた上で、今回の天皇陛下御即位記念1万円金貨の発行枚数、買取相場、オークション実績、歴史的な位置づけを見ていきます。
天皇陛下御即位記念1万円金貨の発行枚数
天皇陛下御即位記念1万円金貨の発行枚数は、合計5万枚です。内訳は、金貨単体のプルーフ貨幣セットが2万枚、500円バイカラー・クラッド貨幣とのプルーフ貨幣2点セットが3万枚となっています(財務省・造幣局公表データ)。
発行時の販売価格(税込)は、金貨単体セットが140,555円、2点セットが142,593円でした。純金を使用し加工も特殊なため、貨幣の製造等に要する費用が額面価格を上回る「プレミアム型」の記念貨幣であると財務省は説明しています。
天皇陛下御即位記念1万円金貨の買取相場
古銭場では、貴金属買取を行う複数の専門店が公表している買取価格データを確認しています。
ゴールドプラザ:435,900円(2026年7月22日時点、公式サイト公表)
七福本舗:442,700円(2026年7月22日時点、公式サイト公表。500円貨とのプルーフ貨幣2点セットは443,200円)
キンカイマース:420,570円(2026年7月22日10時更新、公式サイト公表)
(買取価格は金相場や店舗、貨幣の状態によって日々変動します。あくまで参考価格としてご覧ください)
天皇陛下御即位記念1万円金貨のオークションでの取引実績
人気需要に関しては、ヤフオクなどのオークションサイトを参考にしてもらい、いくらで取引されているのかを確認するのが良いです。
※ただ注意点として、オークションで取引されてる額はその貨幣の平均価格ではないです。その貨幣に傷や汚れがどれだけあるか(保存状態)によって価格が変動しますので注意して見てください。
では、今回の天皇陛下御即位記念1万円金貨を例に見ていきましょう。
| 落札日 | 落札価格 | 状態 |
|---|---|---|
| 5月28日 | 490,600円 | 未使用・プルーフ貨幣セット単体 |
| 4月12日 | 541,000円 | 未使用・プルーフ貨幣セット |
| 3月12日 | 563,500円 | 未使用・ケース入り |
(Yahoo!オークションの終了済み取引を参考に作成。落札価格は商品の状態や付属品、落札日によって異なります)
買取参考価格・素材価値よりも高い水準で取引される例が目立ちます。コレクター需要の高さがうかがえます。
天皇陛下御即位記念1万円金貨の歴史的な位置づけ
天皇陛下御即位記念1万円金貨は、令和元年(2019年)の天皇陛下御即位という国家的な慶事を記念する、令和という新時代最初の皇室記念貨幣です。
造幣局の公表発表によると、金貨単体セットは申込数289,007個に対して販売数20,000個(抽選対象18,000個)で、当選倍率は16.06倍でした。金貨と500円貨の2点セットは申込数373,109個に対して販売数30,000個(抽選対象27,000個)で、当選倍率は13.82倍でした。このことから、発行当初から非常に高い倍率の抽選となるほど人気を集めた記念金貨だったことが分かります。
ただし、この金貨は発行から7年ほどが経過した記念貨幣であり、江戸時代の大判・小判や明治時代の金貨のような、長い年月を経た歴史的価値が確立しているわけではありません。
また記念貨幣は過去にも度々発行されており、今回が初めてではありません。そのため、記念貨幣だからと言って将来的に高い価値が付き続けると断定することはできません。
天皇陛下御即位記念1万円金貨の偽物を見分けるポイント
天皇陛下御即位記念1万円金貨の本物と偽物を見分けるポイントを紹介します。
重量と直径を確認する
天皇陛下御即位記念1万円金貨の公式な重量は20g、直径は28mmです。また、素材には純金(品位1000)が使用されています。金貨単体を精密な電子はかりとノギスで測り、重量や直径が公式の数値から外れている場合は、偽物の可能性があります。
ただし、造幣局の透明プラスチックケースに入っている金貨は、ケースを含めた重量では判定できません。確認のために無理にケースから取り出すと、金貨に傷や指紋が付き、価値を下げるおそれがあるため注意してください。
図柄と刻印の精密さを確認する
表面の鳳凰と瑞雲、裏面の菊花紋章・梓・ハマナスは、いずれも彫刻が精緻に仕上げられています。「日本国」「一万円」「令和元年」の刻印が明瞭かどうか、レリーフ(浮き彫り)の線が細部まで滑らかかを、ルーペなどを使って確認しましょう。
偽物では、刻印が浅い、文字線が太い、文字の角が丸い、模様の一部が省略されているといった特徴が見られる場合があります。
プルーフ仕上げのコントラストを確認する
天皇陛下御即位記念1万円金貨は、収集用に特別な製造方法で仕上げられたプルーフ貨幣です。背景部分が鏡のように磨かれ、図柄部分はつや消し(マット)に仕上げられており、両者のコントラストがはっきりと現れます。鏡面部分にくすみがある、コントラストが甘いといった場合は注意が必要です。
ただし、経年劣化や保管状態によって本物でも光沢が変化することがあるため、この点だけで断定することはできません。
磁石への反応を確認する
純金は磁石にほとんど反応しません。磁石にはっきりと引き寄せられる場合は、偽物の可能性が高いといえます。
ただし、磁石に反応しないからといって本物と断定することはできません。タングステンなど金と比重の近い金属に金メッキを施した偽造品は磁石だけでは判別できない場合があるため、他の項目とあわせて確認してください。
付属品(ケース)を確認する
正規品は造幣局の透明プラスチックケースに封入された状態で販売されています。ケースが開封・破損・改ざんされているものは、真贋の確認が難しくなります。ケースにひび割れや欠けがある場合は、査定額が下がる要因にもなるため注意しましょう。
この金貨は抽選による通信販売のみで発行され、店頭販売は行われていません。流通量が極めて少なく、相場を大幅に下回る価格で出品されている場合は、偽物や詐欺の可能性を疑ったほうがよいでしょう。真贋の判定に迷う場合は、古銭買取の専門業者や鑑定士に相談することをおすすめします。
天皇陛下御即位記念1万円金貨を高く売る方法とは?
ここで、こうした記念硬貨を売りたい方へ注意点があります。それは、絶対に銀行で交換してもらわないこと。この天皇陛下御即位記念1万円金貨は銀行に持っていくと、1万円と交換されます。
理由は、天皇陛下御即位記念1万円金貨は法定通貨(額面1万円の貨幣)だからです。そのため、銀行では額面どおり1万円として扱われます。
しかし、重要なのはここからです。今回のこの天皇陛下御即位記念1万円金貨の発行時の販売価格は、金貨単体セットで140,555円、500円貨とのセットで142,593円でした。
また素材は純金100%で作られています。ということは金価格の推移によって価格は大きく変わるということです。
再度整理すると、天皇陛下御即位記念1万円金貨は、
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 額面 | 1万円 |
| 発行時の販売価格 | 140,555円(単体セット)/142,593円(2点セット) |
| 素材価値 | 約420,637円 |
| 買取参考価格(現在) | 約42万円〜44万円台(複数の買取業者公表データより) |
つまり、額面や発行当時の価格よりも、現在の素材価値・買取相場のほうがはるかに高いことがここで分かります。なので、もし売却を考えているなら、銀行へ持ち込むのは非常にもったいないです。古銭店や記念貨幣を扱う買取店、オークションなどで査定を受けるほうが高く売れる可能性があります。
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